人事院月報 2024年7月号 No.899
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働く人と筋力トレーニングなってきました。自体重の筋トレについては、それまでもいろいろ本にも書いてきましたが、スタンスとしては僕はやらないけど、皆さんはどうぞ、というあまり思い入れの強くない姿勢だったかもしれません。筋肉体操の企画が来て向き合ったときに、おもしろさに気づき、愛を持って取り組めるようになりました。―オフィスワーカーにも筋トレが必要な理由を教えてください。く七〇歳までいくのではないかと思っています。また、働いている期間だけでなく、ずっと健康で元気に過ごすために、筋力はやはり必要です。今人生一〇〇年時代と言われていますけど、大きな病気をしなくて、元気に動いて過ごしていれば一〇〇歳というのは全然珍しくなくなってきています。ただ、一〇〇歳近くになってくると、車椅子の人が圧倒的に増えてきます。自立して生活するのに筋肉の衰えというのが大きな問題になってくるぐらいまで長生きするようになってきました。元気に動くためには、やはり筋トレが断然効果があります。定年が段階的に引き上げられて、おそら高齢になるほど筋トレの重要度は高くなりますが、若い世代においてのメタボ予防で言うと、有酸素運動の方が効果は高いです。二〇二三年に厚生労働省の『健康づくりのための身体活動・運動ガイド』の改訂が出ましたが、ベースはやはり一日八千歩~一万歩歩くぐらいの有酸素運動です。そこに今回初めて筋トレが入りました。筋トレをするとメタボ系の疾患のリスクも下がるというエビデンスが厚生労働省の調査で示されたからです。若い世代の人もぜひ筋トレをやってください。健康経営として、オフィス内でもツーアップ・スリーダウンしましょうとか、普段歩くときの歩幅を広くするために、廊下に歩幅の線が描かれていたりしますよね。オフィス内でも結構動くので、こういった取組の意義は大きいと思います。健康経営はすごく良い取組ですが、十分には広がっていないように感じます。健康経営という言葉が出たときに、ブラック企業という言葉が同時に出たので経営体制が健全だという意味合いにミスリードされてしまったかもしれません。企業が社員の健康のことを考え、社員の健康をサポートするような経営をしますという意味だと思ってない人が今でも多いかもしれません。健康経営での、歩幅の線が描いてあること、エレベーターを待っている間や、デスクでできる運動の推奨は、社内では当たり前のことになりつつあります。社内で当たり前になれば、社外でも当たり前になってくるはずです。普通に道を歩きながら、それを運動に変えるとか、信号待ちでちょっとした筋トレをするとか、そういうことがどんどんできるようになるといいなと思っています。スーツでリュックを背負って肘を曲げて大股で歩いている人もいますよね。そういうのがどんどん当たり前になって健康経営オフィスだけじゃなくて、健康経営社会になって欲しいです。通勤時に運動靴に履き替える人がいますが、オフィスでもその靴のままで良い、そんな価値観になると良いと思います。僕はスーツタイルでも、いつもスニーカーにリュックです。色は華やかな赤や黄色。黒じゃなければいけないということはないと思っています。―筋トレ初心者が始めるならどこから始めたら良いでしょうか。下半身がやっぱり大事ですよね。体を支える筋肉は脚なので、スクワットがベーシックです。しかし、脚を前に振り出す力11

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