人事院月報 2024年7月号 No.899
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シニア層の筋力トレーニングはスクワットでは全く鍛えられません。座って脚を上げるレッグレイズも行う必要があります。一種目だけで済ませたいのだったらランジがおすすめです。片脚を前に踏み出して戻るような形にすると、前の脚はスクワットとほぼ一緒なのですが、後ろの脚は脚を前に振り出す筋肉が鍛えられます。廊下を歩くときにランジウォークでここからここまで行くとかすると日常の中でもちょっと筋トレができますね。外をランジで歩いても恥ずかしくないようになるといいですね。―人事院職員は階段をよく使っているんですよ。階段はすごく良いです。階段は上ると腿がパンパンになりますよね。これは筋肉を大きくする上で重要な速筋をすごく使うからです。速筋を使うと乳酸が出て来るのですが、乳酸がいっぱい出て腿がパンパンになるほど筋トレ効果が上がるので、まず上るのはすごく大事です。腿がパンパンになるぐらい上りましょう。階段を上っていて張ってきたら「筋トレできたんだ」と思っていただきたいです。また、階段を下りるのも効果的です。落下の衝撃を筋肉で受け止めているので実はこれも結構な筋トレになっています。階段を上り続けてエレベーターで下りてきてもあまり筋肉痛にならないのですが、階段で下りてきてエレベーターで上がってという、一見楽な運動に見えますけど、それをやると翌日すごく筋肉痛になります。五階から一階まで階段で下りてくるときは、五階から飛び降りた分の衝撃を一歩一歩筋肉で受け止めていることになります。ツーアップ・スリーダウンと言われますが、ツーアップ・オールダウンでいいと思います。トントンと勢いよく下りて落下の衝撃を関節で受け止めてしまうと、膝や足首、腰を痛めてしまう可能性が上がります。落下のエネルギーをできるだけ筋肉で受け止められるように、少しじわりじわり、丁寧め※3ですからね。関節を労わりながら筋肉に降りるようにすることが大事です。関節は血管が走っていないので悪くなると簡単には良くなりません。よく運動していて、持久力もあって筋力があって元気満々だけど、膝が痛くて歩けないという人はロコモにしっかり刺激を加えるという意味で、じわじわ下りて欲しいです。もしできるのであれば、後ろ向きで下りると使う部位が違うんですよね。もちろん、手すりは持ってください。前向きで下りると、圧倒的にふくらはぎと腿の前で、お尻の筋肉はほぼ使わないのですが、後ろ向きだと前傾するのでお尻の筋肉もだいぶ使えます。なので後ろ向きで下りた方が下半身全体をバランスよく鍛えられます。時々後ろ向きで下りると良いですね。ただ必ず手すりを持っていただいて、安全に配慮してください。―シニア層が筋トレをするときに気を付けた方がいいことはありますか?また、筋トレは何歳までできるのでしょうか。筋トレは死ぬまでできます。運動器はだいぶ適応能力が高いので、何歳からでも大やり方を教えていただきました。インタビューが終わる頃には職員も良い感じに汗ばんでいました12

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