これからのこときくなります。実は高齢の方の方が実験上は若い人より筋肉が付いたりするんですよ。介護施設に入所されているような方に筋トレ介入すると若者より増加率が大きくなります。腿の筋肉は一番落ちやすいのですが、三か月で一〇%ぐらい大きくなります。加齢変化でいくと三か月で一〇年前ぐらいの筋肉になります。が衰えていく下り坂を緩やかにすることはできる、とよく言われますよね。でも、運動器に関してはそんな遠慮する必要は全然ありません。筋肉は衰えていくのを抑えられるというだけではなくて、今よりも強く大きくすることができるわけです。死ぬまで筋肉は付けられますよ。骨密度も上がりますし、持久力も上がります。三〇歳ぐらいが大体平均値としてはピークなのですが、それぞれの人が上がるような努力をすれば、何歳からでも上げていくことができます。やるわけではないので、怪我のリスクはあまりないと思うのですが、やり方によっては血圧がすごく上がってしまいます。それは防いだ方が良いのですが、一つは呼吸です。「うーん」といきむと血圧が上がりま老化はみんなに起こることですが、機能高齢の方は筋トレをそこまで重い負荷です。筋トレを重たい重量にこだわって行う人は思いっきり息を止めてやるのでチカチカと星が飛ぶことがあります。そういうときは高い血圧に晒されるので、脳にも圧がかかって、それが原因で星が飛ぶと考えられます。そこまではいかなくても、うんと息をこらえるとやはり血管に強い力がかかります。そのようなときは心不全などが起こる可能性がありますので、息を止めないように気を付けましょう。また、姿勢も重要です。体が起きていると血圧はあまり上がらないのですが、寝転んで運動すると血圧はかなり上がります。全身から血が勢いよく返ってくると、それに対して心臓が大きく広がって強く収縮するからです。なので、基本的には立った姿勢での方が望ましいです。腕立て伏せだったら僕はテーブルに手をつく方法を推奨します。しっかり大きな動作であれば床で行わなくても強く負荷をかけられます。腹筋も寝転んで行うよりも、座って足を上げる方が望ましいです。―公務・通勤災害では転倒が比率として高いのですが、予防に良いトレーニングはありますか。脚が前に出なくなってくることによるものだと思います。年を取ると脚を前に振り出す腸腰筋という下腹の奥にある筋肉がすごく落ちます。高齢者では歩くスピードと腸腰筋のサイズに強い関係性があります。また、足が前に出なくなると摺り足になるので、つまずきやすくもなります。もちろん全身鍛える必要があるのですが、脚を前に振り出す腸腰筋を大きくするのは特に重要になります。一度つまずくと怖くなって出かけなくなります。そうするとますます弱くなる、というのがあるので、その意味でも大事ですね。―今後の抱負を聞かせてください。13
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