人事院月報 2024年7月号 No.899
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私は証券会社での勤務を経て、選考採用にて令和六年二月より人事院で働いています。証券会社では、経営企画や日本株のトレーディング、システム開発などを経験してきました。転職することを知人に話すと、全く畑違いの転職だと驚かれるのですが、元々国家公務員や研究者になることが大学時代の目標だったので、私としては人生でやってみたかったことに取り組めるまたとない機会をいただけたと感じているところです。私が就職活動を行っていた二〇年程前はファンドによる企業買収やそれに対する防衛策などがニュースをにぎわせていました。私の周囲にいた優秀な学生は皆口を揃えて投資銀行に就職する、と言い、こんなに優秀な友人たちが選ぶ道なのだから、一度経験してみた方が良いかもしれない、と私も証券会社への就職を決めました。証券会社では尊敬できる先輩方や同期、頼もしい後輩に恵まれ、日々の相場に悩まされながらも、楽しく、ときに辛い思いもしながら駆け抜けてきました。その間、三人の子どもにも恵まれました。当時、夫とは同じ職場で声も届くくらいの場所で仕事をしていました。周りの職員はやりにくいところがあったかもしれませんが、お互いやりたい仕事をさせてくれた前職には感謝しています。しかし、夫はある意味ライバルでもあり、子育てしながら同じ職場で働くことにデメリットを感じるようになっていました。そこで、当時担当させていただいていたプロジェクトが終わったら別の会社に移ろうと決めました。そんなある日、人事院が採用を行っていることを知りました。これだ!と思いました。こんなことを思い出したのです。学校から帰った長女が「将来、農林水産省で働こうかな」と無邪気に夢を語るので、「どうして?」と尋ねると、「日本の農業を守りたい、世界に農作物を輸出したい」と言います。社会科の先生の指導力にも驚かされますが、私も学生時代同じように社会の役に立ちたい、日本の未来に貢献したいと思っていたことを思い出しました。にもかかわらず、「それ、いいね。すごくかっこいい。でも、大変な仕事かもしれないよ。」とやや反対してしまいました。学生時代、某省でインターンをさせていただいたとき、職員の方が、「家に帰ってシャワーだけ浴びてきた」と言っていたのです。このとき持っていた、いわゆる〟ブラック〝と転職に至る経緯 民間企業から公務に転職した経緯と、選考採用で採用され国家公務員となった今、感じていることを徒然に紹介します。コラム 総務課広報室 広報専門官 秋月 紗恵子30~人事院職員となって感じること~民から官へ

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