人事院月報 2024年8月号 No.900
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幹部公務員が急速な変化に適応し、より公共サービスが複雑かつ急速に変化し続幹部公務員は、マネジメントの一環としを通じた実例の紹介がありました。④セッション4「変革を主導すること」将来にわたってシステム全体の変革を達成するために必要なリーダーシップについて、英国、オランダ、韓国、ブラジル、スロベニアがスピーチを行いました。日本が発表したセッション1では、鈴木審議官がパネリストとしてスピーチを行いました。その概要は次のとおりです。日本の公務組織と行政運営をめぐるここ数年の環境の変化の主要因として、三つの根本的な変化が指摘できます。第一に、少子高齢化が加速度的に進む中、公務組織では応募者の減少と離職者の増加により労働力確保が困難化しつつあること。第二に、抜本的な業務効率化のため、公務組織の急速なデジタル化が喫緊の課題になったこと。第三に、行政課題が複雑・高度化する中で、縦割り型・単純な前例踏襲型の対応では行政が立ち行かなくなっていることです。そのような中、日本の公務組織・行政運営全体が担うべきミッションは、大きく変化する社会経済・国際環境の中で国民の利益を守り、世界最高水準の行政サービスを提供し、活力ある社会を築くことです。このミッションを確実に遂行する上で、行政の経営管理能力を高め、公務組織の各層に有意な人材を誘致・育成することが現在の最重要課題の一つとなっています。この文脈で人事院は、政府全体のため、①採用試験の見直しや官民間の人材流動性向上等による人材確保、②能力・実力主義に基づく人事管理の推進等を通じた人材育成と処遇、③長時間労働是正や柔軟な働き方の実現を柱とする勤務環境の改善、という三つの課題に取り組み、種々の改革方針を打ち出してきました。最後に、幹部公務員に求められるリーダーシップとマネジメント・スキルに関する意識・行動改革の必要性について述べたいと思います。幹部公務員は、政治が掲げる国家将来像(ビジョン)を基に、その実現に向けた中長期の政策目標と優先順位を提示するためリーダーシップを発揮すべきと考えます。その過程での省庁間の連携・調整に係る折衝、立法府への説明といった幹部公務員の役割は、一層重要性を増しています。幹部公務員がそのようなリーダーシップを効果的に発揮できるためには、政官関係の在り方を今よりも適切なものに変3 日本のスピーチの概要①セッション1「幹部公務員──公務の変化とミッションを反映して」レジリエントでパフォーマンスの高い公共組織を形成する機会に焦点を当てたパネルディスカッションで、フィンランド、日本、フランス、チリ、米国がパネリストとして参加しました。②セッション2「不確定な未来に向けた公共サービスの備え」ける中、行政はどのように将来を予測し、備えるべきか、また、その中での幹部公務員の役割についての、各国によるプレゼンテーション、OECDからのプレゼンテーションの後、カナダ、シンガポール、チェコ、デンマークが発表を行いました。③セッション3「組織力とパフォーマンスのための政府機構の最適化」て組織力やパフォーマンスを確保し、各種リソースやプロセス等の変革の舵取りをする責任があることを踏まえ、それらをフレームワーク化し、推進するための行政のアプローチ・方法論について、各国の経験談を発表。オーストラリア、イタリア、アイルランド、エストニアから、各国の取組◆28

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