人事院月報 2024年8月号 No.900
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or lic senpubservantsえていく必要があります。取り組まねばなりません。具体的には、対応すべき政策課題が急速に変化しつつある状況下で業務の優先順位を不断に点検し、無駄なものや優先順位の低いものを廃止し、又は切り捨てること。行政事務は惰性を帯びやすく、また人的資源と予算は限られているので、高いコスト意識を保持する必要があります。る中、幹部公務員に期待される組織・人材・業務マネジメントはこれまでに例を見ないほど高度化し、責任と負担が過大になっています。これには新卒一括採用・終身雇用という日本固有の慣習が変容しつつあることも関連しています。はいくつかの要素がありますが、特に二点が重要です。第一に、職員の成長のための上司から部下へのフィードバックの重要性が増しています。またフィードバックと表裏一体のものとして、一人一人と丁寧に向き合う人事評価も必要です。第二に、個々の職員への細かい配慮と効率的な人事業務とを両立できる人材マネジメントのため、データの一元管理とデジタル技術の活用がまた、幹部公務員は組織内部の課題にも公務組織・行政運営が変化の波にもまれ求められているマネジメントの在り方に重要です。例えば、府省で一定程度標準化されたタレントマネジメント・システムの構築・共有などが考えられます。会場では、発表者が自国の状況を解説しながら熱意を持って取組や課題の紹介を行い、質疑応答の時間が足りなくなるほど活発に意見が交わされていました。中には、コーヒーブレイクの時間を使ってスピーカーに感想や質問を伝えに来る出席者もいて、鈴木審議官がそれに対応する一幕もありました。会合全体では、全てを紙面でご紹介することは難しいほど濃い議論が交わされましたが、中でも特徴的だったことを簡単にご紹介します。各セッションでは全般に、公務における組織力の向上と幹部公務員(指すものは異なりますが、今回の会議においては、主として課長以上の公務員が想定されています)のリーダーシップにフォーカスしたテーマが設定されていました。特に組織改革においては、適切なリソース、システム、ツール、プロセスを確保する際に、幹部公務員のリーダーシップが重要であることが意識的に論じられていました。発表者のほとんどは自身も幹部公務員であることから、その使命に自覚的で、自国の公務を担う強い責任感を持って発言されていたことが印象に残りました。各国の発表を横断してみると、とりわけ公務におけるデジタル化とAIの活用については、切迫した問題意識を持って言及するものが多くみられます。また、複数国が取り上げていたテーマの中で、日本の人事行政における昨今の議論とも共通するものとしては、人材の確保、組織改革の中での目的主導(パーパス・ドリブン)といったものがありました。公務におけるデジタル化とAIの活用については、避けては通れないものとして多くの国が言及していましたが、中でも、ソーシャルメディアの普及によって生じたフェイクニュースや公務への不理解といった問題:文脈によって具体的に4 全体を通してi▲ラウンドテーブルに出席する 鈴木審議官29

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