食べ物(魚、うすいえんどう、うどん)終わりに商店街で、大阪での住まいから歩いて二〇分弱くらいのところにあります。肉屋、魚屋、八百屋など、商店街の定番であるお店が数店あるほか、手作りのお惣菜を売るお店もあり、どれも驚くくらい安価で、食材の確保にはうってつけです。威勢のよい声が響いているお店には、品定めをする人が並んでいて、活気も感じられます。リアに位置する天満市場です。市場の名前のとおり、建物の中にお店がひしめき合っており、肉屋、魚屋、八百屋、それぞれ複数のお店が入っていて、特色を競い合っています。飲食店関係の人が仕入れに来ているのもよく見かけますが、お店によっては、けっこう小さい単位で小売りをしてくれる所もあるので、自分のような一人暮らしの人であっても、買いやすいのも魅力です。が、食べ物にもいろいろな特色や名物があります。観光ガイドを見れば、お好み焼き・たこ焼きや串カツなど、「ザ・大阪」というような定番の食べ物に関するお店の紹介がたくさん見られます。次は、大阪駅から電車で一駅、キタのエ大阪は粉もの文化と言われたりもします他方で、一般的な食材に関しては、大阪に限らず、今の日本の物流の発達からすれば、どこにいても同じものが食べられますし、全国に展開しているスーパーなどに行けば、基本的には同じような品揃えになっているかと思います。ただ、大阪で普段使いの商店街やスーパーに行くと、他ではなかなか見られないものや、品揃えが非常に充実しているものがあります。ここでは、大阪における日常的な食べ物の「違い」について、いくつかご紹介したいと思います。まずは、魚に関してですが、夏のハモと冬のふぐが定番のようになっていて、その時期になるとどの魚屋にも確実にこれらが並びますし、飲食店の中にはこれらのみを専門に提供するお店が至る所にあります。また、ランチに鯖や鰆の塩焼きを提供するお店も多く、鯖は味噌煮、鰆は西京焼きという固定観念からすると、すごく新鮮に感じます。次に、「うすいえんどう」という豆が、季節を問わず、いつもスーパーや八百屋の目立つ所に並んでいます。春の空豆、夏の枝豆はどこでも見かけて、茹でるだけですぐおつまみとして食べられるので重宝しますが、えんどう豆が前面に出てくる光景はこれまでなかなか見かけませんでした。それから、粉もの(小麦粉)文化、あるいは出汁文化の影響なのかもしれませんが、麺類の中で、うどんが最も勢力が強いように感じます。スーパーに行けば、安価なうどん麺が山積みになっていますし、さっと食べられることも大阪人の気質に合っているのか、お昼時に職場近くのうどん屋に行くと、いつも行列ができています。以上、とりとめもなく、近畿事務局や大阪生活で感じた様々な「違い」について書いてきましたが、「違い」はその土地の魅力そのものという感じがしています。ほんの短い期間だけなので、まだまだ知らないことだらけではありますが、実際に暮らしてみることで、人気スポットの観光だけでは分からない面白さに触れることができています。三〇年ぶりに東京を離れ、大阪という新たな土地での生活の機会を得たことを、貴重な経験とすべく、日常的な大阪の「違い」=魅力を求めて、今後も様々な所をさまよい歩いてみたいと思っています。(こんどう・あきお)36
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