人事院月報 2024年10月号 No.902
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器疾患は、毎年の健康診断で経過を診ることができるので、健康診断を受けっぱなしにせず、健康診断の結果を必ず確認して、要受診と指示があった場合はすぐに医療機関を受診するとともに、生活習慣をできる限り改善することが望ましいでしょう。例えば、健康診断で血圧が一六〇/一一〇以上の場合は、①自宅で血圧を毎日測定後に手帳やカレンダーなどへの記録を開始して、②生活習慣を改善(十分な睡眠を確保しているか、酒を飲みすぎているなら節酒を心掛け、減塩を心掛けるなど)、③すぐに医療機関を受診するとともに、医師の指示に従うことが何より重要です。一方、がんは少々進行しても症状がないことが多く、症状が出る前にがんを見つける「がん検診」が重要になります。がん特有の症状ではありませんが、血便、血尿、血痰といった異常が続く場合は、医療機関を受診しましょう。現在、国が推奨しているがん検診を定期的に受けて、早期発見・早期治療に努めることが重要です。がん・脳卒中などの病気で療養が必要となった場合、職場として一番重要なことは『離職させないこと』です。がんや難病などの病気を診断されると頭の中が真っ白になり、突然仕事を辞めることも少なくありません。よく職場の人事労務担当に相談して、病気休暇制度や身分保障期間(いつまで職場に籍を残すことができるか)を確認して、主治医に「療養が必要」と記載された診断書を発行してもらい職場に提出することが重要です。職場は、本人に心からのお見舞いの気持ちを伝えて、治療に専念できる制度等があることを伝えるとともに、本人・家族等の連絡先を確認して、主治医が「復職可能」と診断書が発行されるまで待つことになります。治療と仕事の両立において、職場で最も重要になるのが「労務上、知り得たその職員の健康情報等(病名、治療経過や家族など)について、その職員と労務上で関係のない職員(例:他部署等)に漏らさない『守秘義務』を守ること」です。ハラスメントや本人への心理的な負荷になりますので、職場の内外での、不適切な健康情報の漏洩を厳に慎みましょう。次に復職時の注意点です。主治医から「復職可能」の診断書が発行されて職場に提出された場合、①日常生活に大きな支障を来す症状がないこと(例:睡眠・精神状態や症状等が比較的安定している)、②本人に就労意欲が十分にあることを意味します。しかしながら「働く」ということは、図7の二段目にあります③就労に必要な労働等が持続的に可能かどうか(例:もともとの気力・体力・集中力・思考力などが七〇%以上ある)や、④職場が受入れ可能かどうか(例:残業制限などの職場での配慮がある)などを含めた総合的な復職判定が重要になります。復職直後は、「座り仕事」「誰かの仕事を手伝う仕事(サブ的な業務)」が望ましく、時間外労働せず、必要に応じてテレワーク5. 治療と仕事の両立(三次予防)胃肺国立がん研究センターがん情報サービスより改変引用■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■国立がん研究センターがん情報サービスより改変引用 https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/about_scr.html推奨されているがん検診推奨されているがん検診対象と適切な受診間隔50歳以上の男女2年に1回(当分、胃X線は40歳1年1回も可)20歳以上の女性2年に1回40歳以上の女性2年に1回40歳以上の男女年に1回年に1回対象臓器推奨されている検診方法胃X線胃内視鏡検査子宮頸部細胞診マンモグラフィ乳房胸部X線(喫煙者は喀痰検査も)便潜血検査40歳以上の男女大腸図609

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