30」というものがあります。二〇三〇年る、というような出張もあります。︱︱他にはどのような業務がありますか。[仲原]今、国際的な目標として「30 by までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、地球上の陸域と海域の三〇%を保全するというものです。日本国内での目標達成に向けては、集中して行う取組とその行程が「30 by 30ロードマップ」にまとめられています。国立・国定公園は保護地域として国際目標に反映されるので、国立・国定公園の面積を広げ、さらに、国立公園の管理の質を向上させることを目指しています。全国に、国立公園は三五、国定公園は五七ありますが、それ以外に資質を有する場所がないかという調査を令和三年から令和四年にかけて行いました。その結果、計十四か所の国立・国定公園の新規指定・大規模拡張候補地が選定され、本年六月二五日には、日高山脈襟裳十勝国立公園が新たに指定されました。国立・国定公園の指定までには、最初に自然環境調査があって、土地の所有者との調整があって、国の機関や、登山道の管理団体、地元の自然保護団体とも意見交換を重ねて、審議会へ諮問、という道のりを経て、やっと達成することができます。検討を継続している候補地は他にもあります。長野県と岐阜県の間にある御嶽山や北海道の野付半島・風蓮湖・根室半島、宮古島沿岸海域等は、今は県(道)立自然公園に指定されている部分もありますが、国定公園の指定を目指すとともに、新たに区域を拡張し、「30 by 30」の目標にも貢献できるよう取り組んでいるところです。また、研修を頼まれることもあります。JICA等から、海外の農林水産省や環境省のような機関に勤めている職員向けに、日本の国立公園の制度を教えてほしいとの依頼を受けることがあり、講義を行っております。︱︱本省の業務を行う中で、現場での経験はどのように役立っているでしょうか。[仲原]公園計画を変更する際に、現場での細かい調整、例えば歩道やキャンプ場を整備するに当たっての資金や管理体制、安全管理をどうするのか、といったことを確認できる視点があることだと思います。現場を経験したからこそ、今後、現場で問題や課題になるであろうことを計画段階でよく検討し、一つずつ解消していけるように感じています。︱︱これからどのようなキャリアを築いていきたいですか。[仲原]これまで、最前線の自然保護官事務所と地方環境事務所、本省と経験してきましたが、やはり最前線の事務所だと直接的に国立公園の管理に関われることが多いなと思います。国立公園の核となる自然の保護に自身の手で取り組むことができたり、国立公園内で事業を営んでいる方や自治体と協力して、プロモーションや国立公園に還元できる企画に携われるのは魅力的だなと感じています。一方で、法制度など大枠的なところは、現場で変えていくことは難しく、本省に持って帰ってくれば、改善に向けて検討していくこともできるのでは、と思います。加えて、自身が担当する地域のことだけではなく、公園全体に係る施策に携われるのは本省ならではだと思います。現在取り組んでいる国立・国定公園の新規指定や大規模拡張といった大きな仕事もそうですし、まずは公園を指定して計画を立てないとレンジャーの力が発揮できる仕事は始まらないので、そういった土台作りに携わることができて、後々の発展につながっていくの 14
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