人事院月報 2024年10月号 No.902
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も感動して、国立公園のようなところを職場にできたらいいなと思いました。︱︱大学での専攻は学問的にはどういった分野になるのでしょうか。[二川原]景観生態学といって、より広いスケールで見た生態について学ぶゼミにいました。造園にも近い分野です。幅広く学べるゼミだったので、私は鳥のことをテーマにしていました。レンジャーの仕事は大きく分けると、公園の仕事と鳥獣の仕事があるのですが、鳥獣の仕事がしたいと思っていました。︱︱専門知識をお持ちの方がレンジャーになるイメージがありますが、具体的な山の登り方のような、そういった技術面の習得はどのようにされているのでしょうか。[二川原]環境省の自然系の職員にはレンジャー研修というのが、大体一年目から二年目ぐらいまでの職員に対して、年一回ぐらい開催されています。そこでは主に自然公園法の許認可等の事務スキルについて学びます。現場歩きのスキルは、元々アウトドア系の人がやっているということもあって、個人的に身に付けています。私は植物についてはそこまで詳しくはなかったのですが、那須の事務所には植物に詳しい職員もいますし、現場で学んでいます。〈那須ならではのレンジャーの仕事〉︱︱那須のレンジャーならでは、と思うのはどんなところでしょうか?[二川原]国立公園というのは自然豊かな場所なのですが、那須は昔から別荘地になっていたということがあって、元々人がたくさん住んでいました。そのため、自然公園法の許認可の件数が、日本で一、二番目ぐらいに多い国立公園になっています。全国には一人しか事務所員がいないような事務所もある中で、那須には六人の事務所員がおり、膨大な許認可手続への対応以外にも、直轄施設の管理や満喫プロジェクト等の利用の推進業務などを、分担しながら行っています。日頃の業務は、許認可の割合が高いです。私はおそらく那須の管理官の中でも比較的外に出ている方だとは思うのですが、山の方での業務は週に一回ぐらいしています。現場での業務にはアクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)にまず行ってもらったりします。︱︱許認可や山の仕事というと、例えばどのようなものでしょうか?[二川原]こちらに来る際に、看板がこげ茶色なことに気付きませんでしたか。国立公園内の規制が強い区域では、建築物を建てる、電柱を建て替える、広告物を作る、木を切る、そういうことにも規制をかけているので、申請を出してもらって、行政手続をしています。事業者の方とやりとりをして、実際に規制の範囲で作られた看板を見かけると、ちょっとした達成感があります。外で行う業務としては、看板が壊れていないか、不法投棄されていないかなどを見て回っています。登山をされた際に記念に石を積んでしまう人がいるのですが、那須は風が強く、積まれた石が飛んでけがをするおそれもあるので、石を崩して回るということもやっています。これは、ビジターセンターを運営するNPOの方に民間のアウトドア業者の方をつないでいただき、一緒に行っています。︱︱オオハンゴンソウ以外にも駆除活動はありますか?[二川原]ウチダザリガニの駆除を行っています。月一回、雪が降る時期以外活動されている方がいて、そこに環境省からも職    17

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