人事院月報 2024年10月号 No.902
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はじめに三国の発表の概要二 一 今回のシンポジウムは、韓国が主催し、釜山市で開催されました。日本から人事院の鈴木秀雄事務総局審議官(研修・国際担当)(開催当時)、中国から国家公務員局の刘宇飞(リウ・ユーフェイ)公務管理第二副局長、韓国から人事革新処の朴勇洙(パク・ユンス)企画調整官が「有為な人材の公務への誘致」をテーマに発表を行いました。(日本)近年、日本の国家公務員の人材確保は危機に直面しています。主な原因を三つ抜粋してお話しします。一つ目は、生産年齢人口の減少に伴う構造的な人手不足、二つ目は国家公務員申込者数の減少、三つ目は総合職試験採用職員からの離職者の増加です。このような現状に対する主な施策を三つの柱に分けてご紹介します。第一の柱は、公務組織を支える多様で有為な人材の確保のための一体的な取組です。既述の現状を踏まえ、採用戦略の大胆な転換が急務となっています。例えば、大学二年生でも受験できるような採用試験の実施や受験可能な試験地の拡大に取り組んでいます。今後も、学生が受験しやすい採用試験の実施に向けて議論を加速させていきます。第二の柱は、職員一人一人の成長を通じた組織パフォーマンスの向上施策です。近年、若手職員を中心に、仕事を通じてキャリアを形成し、能力やスキルを伸ばすことを重視する傾向にあるということを示す調査結果が出ています。こうしたデータをもとに、職員の主体的な学びとキャリア形成を強力に支援し、個人の成長を組織全体の成長につなげていく取組を推進しています。第三の柱は、多様なワークスタイル、ライフスタイルの実現とウェルビーイングの土台となる環境整備、いわゆる「働き方改革」です。具体的には、長時間労働の是正、フレックスタイム制度の更なる活用、勤務間インターバルの確保や休暇制度の見直しなど、柔軟な働き方を実現するための制度改革を検討するとともに、ワークライフバランスを実現しやすい制度の拡充を図っています。(中国)有為な人材を確保するため、次の施策を行っています。・正確さと科学に焦点を当てた選抜現場のニーズと候補者の条件の一致を重視し、候補者の採用についてより深く実践的な調査を行い、真に優秀な人材が競争の中で際立つことができるようにしています。人事行政報告 日中韓三国の人事行政機関である、人事院、中国国家公務員局及び韓国人事革新処は、「日中韓人事行政ネットワーク」として人事行政分野における連携及び相互交流を進めるため、各種協力プログラムを実施しています。本ネットワークの事業の一環として、令和6年6月20日(木)に韓国の釜山市において第16回三国共催シンポジウムが開催されました。 今回は、「有為な人材の公務への誘致」をテーマに、各国の公務員を取り巻く背景やそれに対する対応策につ国際課いての発表及び質疑応答がなされました。本稿ではシンポジウムの概要を紹介します。 ~有為な人材の公務への誘致~19「日中韓人事行政ネットワーク」第16回三国共催シンポジウムの開催

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