人事院月報 2024年10月号 No.902
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英語試験はありませんが、申込時に「不利になることなく参加するには、十分に流暢な英語力が必要。英語での高度な会話や討論を、自信を持ってできることを確認しなさい。」と記載があり、確認が求められます。抜で落ちるケースもあり、特に、経験や役職段階が不十分とみなされることがある、参加者は高い選抜を受けている」とのことでした。確かに、実際に参加してみると、英語能力だけでなく、咄嗟の対応力やプログラムに対する熱意や意欲も必要であることを実感しました。また、自らの経験を話題として提供する機会も多いため、面接で役職段階や経験を念入りに聞かれた理由が理解できました。さらに、常に参加者や講師、大学関係者と一緒のため、基本的に人と接することが好きであることは重要であると感じます。このプログラムに合う人材について、「かなり集中的な一週間であり、かなりの量の事前課題、夜まで続くセッション、勉強から最大限の成果を得ることが必要。時間の投資を惜しまず、本気で取り組み、一〇〇%の力を出し切ろうとする人に向いている。」と述べています。プログラム参加後に聞いたところ、「選前年度参加した駐カタール英国大使は、Integrity)の維持」、【ストーリースラム(Story Slam)】政府で民間へのアウトソース又は民間からのインソースを行うことに不安を感じる職員たちに、不安を払拭するためのスピーチを行うという設定で、参加者の前でスピーチを行う実践的プロブラムです。その際、物語を組み込むことで、聴衆にインパクトと感動を与え、説得力を持たせることが求められます。三晩に渡って夕食前に行われましたが、私は、初日の発表に割り当てられ、同日に物語の作り方と、話し方の実践練習を受けた直後の本番となりました。準備は休憩時間の一時間のみ、開始五分前に講師前でのリハーサルと最終アドバイスを受けた後、すぐに本番でした。私は、国立劇場を民間に委託する設定でスピーチを行い、伝統文化の文楽の紹介も行いました。準備時間が短く、もっと聴衆の心を打つような物語を入れたかったという反省はあったものの、短い準備時間でも人前で話す実践の良い機会となりました。ほぼ毎晩行われるこの会は、スポットライト付きの舞台や伝統あるミュージックルームなど設定も華やかな上、皆の拍手と声援が送られるなど温かい雰囲気が醸成されている楽しい時間でもありました。⑥ カリキュラムの形態内容は「全ての国の政府や国際機関に共通して不可欠なスキルとフレームワークに基づくカリキュラム」とされています。「個人の誠実さ(「効果的なコミュニケーション」、「デジタル技術の活用」、「意思決定における認知バイアスの低減」等のテーマが、講義・討議、シミュレーション、実践練習、グループワークという様々な形態との組合せで、繰り返し提供されます。 例えば、「意思決定の落とし穴」で認知バイアスの講義を受け、後日、知識を応用したグループワークを行うこと、また、「交渉」の講義と「インターネット・ガバナンス」の講義を受けた後、サイバーに関する国連決議案交渉のシミュレーションを行うことなどがあります。⑦ スケジュールと内容三月半ばに、参加者用ページが開設され、事前課題や参考資料が随時掲載されました。四月八日のオンラインプログラムでは、講義や少人数制のセッションが行われました。四月一四日の初日は、導入や自己紹介が開始され、次の日から終日多くのクラスが行われました。ここでは特に印象的であったものをご紹介します。33

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