倫理審査会は今年一二月三日で発足から二五周年を迎えた。その間、公務員の皆さんのご協力もあり、倫理保持の意識は浸透し、違反で処分を受ける人数も近年は少数にとどまっている。倫理保持は公務に対する国民の信頼の礎となる、そのことへのご理解に、深く感謝したい。一方で、残念ながら散見される違反事案の中には、今年の職員向け標語「『おかしいな』 気づける知識と ら、単なる知識ではなく具体的な場面を意識した知識、換言すれば、自分事として捉えて活用できる知識があれば避けられたと思われる事案も少なくない。あるいは、職場で一言相談していれば避けられたのではないかと悔やまれる事案も見受けられる。違反事案防止という観点からも、相談しやすい職場環境を作ることが重要であろう。倫理審査会としては、数年前から、事業者への働き掛けも意識してきている。事業者向け標語「その気遣い あるとおり、事業者に対して、公務員倫理のルールについて、引き続き丁寧に働き掛ける必要性を痛感している。これまでの倫理標語の中で、個人的に最も気に入っているのが「倫理観 高いあなたに しいだけのものと捉えるのではなく、職場や国民から信頼を得られる、ひいては公務員生活を充実した幸福なものとすることができる、そのための手段として捉えていただけると幸いである。倫理法令の規制により、事業者との必要な意見交換の機会を控えるなどの傾向があるとすれば、それも軽視できない。ルールを正しく理解し、それに従って事業者との必要な交流を行うことは、円滑な公務の遂行に欠かせない。その限界が分かりにくいとのご批判に対応するためにも、公務に対する国民の信頼を確保することを大前提に、公務員倫理に関する規制の在り方を考え続けていきたい。倫理保持について、今後とも、皆さんのご協力を心よりお願いしたい。話せる職場」に言寄せて言うな組織が違えば ルール違反」に信頼感」というものである。公務員倫理を単に鬱陶倫理審査会誕生から25周年を迎えて 国家公務員倫理審査会 会長 秋吉 淳一郎022024 12月号 人事院月報特集 国家公務員の倫理〜 国家公務員倫理月間に当たって 〜
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