状把握です。現在、自組織の新入社員が、どのような適応課題に苦しんでいるのか。どのようなサポートを必要としているのか。そのような課題を克服できなければ、自組織の将来はどのような危機に直面する可能性があるのか、そのエビデンスを現場と共有することです。また、⑶で示したトップとの協調関係を構築できていれば、トップにも現場に働きかけてもらえ、現場の協力は得やすくなるでしょう。これらの関係性構築が求められます。最後に、⑷そのような関係性を構築できたら、実際の現場でのオンボーディングの実践を支援することになります(実践支援と管理職サポート)。人事部が立案したオンボーディング施策を実践するのが現場になります。それゆえ、オンボーディングの成否は現場に懸かっています。現場が円滑にオンボーディングを実践できるよう、人事部がしっかりと支援することが効果的なオンボーディング施策の実践には不可欠です。例えば、現場の管理職が1on1に苦労しているようであれば、人事部面談を実施するなどをして、管理職をサポートすることです。先述したように、現場のオンボーディングの成否を担うのは、現場であり、事部ですが、現場で実際に指導するのは現場の役割になります。施策のデザインから実践までを見ていきましょう(図1)。まず人事部には、⑴新入社員の現状を正確に把握することが求められます。自社の新入社員がどのような適応課題に直面しているのかを正確に把握することで、効果的な施策のデザインにつながるでしょう。そのためには、新入社員への質問票調査やパルスサーベイ、聞き取り調査などを実施し、自組織の新入社員の現状を把握することが求められます(現状把握)。確に理解し、それらの課題を克服させることができるオンボーディング施策を講じることです(オンボーディング施策の設計)。ここの施策をデザインする際には、そのメンバーに中途採用者を入れることが重要です。自組織しか経験したことのない人は、中途採用者の気持ちが分かり難いからです。必ず中途採用者の気持ちが分かるメンバーを入れることです。また、中途採用者だけのチームも避けましょう。不満の言いここからは、人事部のオンボーディング⑵は、前述した新入社員の適応課題を正合いになり、歯止めが利かなくなってしまいます。経験の長いメンバーと中途採用のメンバーのバランスが重要です。そして、それらのオンボーディング施策が全社的にうまく機能するために⑶トップや各部門との協力体制を構築すること(部門間連携の構築)が求められます。人事部がオンボーディング施策を講じても、トップや現場が協力してくれなければ、効果を得られるはずがありません。そうならないためにも、トップや各部門と密にコミュニケーションを取り、現場が「協力しよう」と思える関係性を構築することが重要です。その際、日本企業によくある傾向なのですが、現場を忖度し過ぎることに注意が必要です。現場は忙しいため、本来ならばやらなければならないオンボーディング施策をお願いし難いのは理解できます。しかしながら、施策を現場に伝えなかったり、軽くしたりすれば、何の効果も得られません。人事部が現場を忖度し過ぎず、やらなければならないオンボーディング施策は、しっかりと実践してもらうことです。その際、現場は何の根拠もないのに、ただ負担になることを容易に受け入れてはくれません。そこで重要になるのが、⑴で用いた現082025 1月号 人事院月報
元のページ ../index.html#10