る場合もあり、酒造りのシーズンがあります。清酒の場合には、「寒造り」と呼ばれますが、秋に採れたお米を使って冬にお酒を造るのが一般的で、春に絞ったお酒をきき酒するイベントがあります。泡盛は主にタイ米を原料にしているということと、蒸留酒ということもあって、年中造られています。なので清酒ほどスケジュール感はないです。一一月一日が泡盛の日になっており、それに合わせて泡盛鑑評会の表彰式を実施するのでそれに向けて九月から審査を始めます。それが終わると蔵の方を回ったりして、五月頃には座学ときき酒の講習会を石垣や務所主任鑑定官では、産業振興について組織理念を定め、四つのアクションプランに取り組んでいます。ということで、泡盛の品質評価、いわゆるきき酒による技術向上や、泡盛鑑評会などを企画しています。一般のコンテストは消費者に美味しいお酒をPRすることを目的にしていますが、我々の鑑評会では他のコンテストと違い、技術を磨いていただくことを第一にしています。また、仕次ぎ(※注1)の解明ということで、泡盛ならではの古酒として育てていく方法の解明にも取り組んでいます。成として、実際にメーカーで製造に携わる方々の人材育成への取組です。きき酒のやり方や酒造りに関する知識などをメーカーの従業員向けに研修しています。また、製造現場における課題解決として、技術相談を随時受け付けています。新しい商品のきき酒をしてコメントが欲しいですとか、場合によっては現場に来てほしいと言われてこちらからお邪魔することもあります。あとは、メーカーの従業員の方以外にも消費者向けにお酒の話をしてほしいという依頼があれば、製造・技術面だけではない広い一つ目は、泡盛の美味しさを解明しよう二つ目としては、酒類業界を担う人材育観点からお話をすることもあります。三つ目としては、お酒と人をつなげるということがあります。泡盛技術情報ポータルサイト(※注2)では、できるだけ分かりやすく泡盛に関する技術的な情報をまとめて載せるページを作っています。メディア関係を回って記事にしていただいたりすることもあります。四つ目としては、新しいお酒を造っていくことです。これは、少し古い話になりますが、一二社協働で次世代泡盛を造る取組をしたことがあります。通常、泡盛は一回蒸留したらお酒にできるのですが、三回蒸留することで、クリーンな酒質を目指し、カクテルのベースとしてバーに置いてもらえるようなものを開発しようという企画です。カクテルでは、ウォッカのようにクセのないものがよく使われているのですが、バーテンダーさんからは泡盛や焼酎はクセがあるから使いにくいという意見がありました。そこで、クセをそぎ落としながらも、原料由来の甘みや風味は感じられるようにというコンセプトで造られました。「尚」という銘柄で売り場に置かれています。――一年の中で、その季節ならではの業務はありますか。[渡辺]お酒によっては原料の制約を受け▶ 取材した日は表彰式後間もない頃で、出品された泡盛や、きき酒に使用しきれいに洗われたグラスがたくさん並んでいました。122025 1月号 人事院月報
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