す。そうなると、メーカーとしては取り組みにくい面があるのかなと思います。私も沖縄に来て初めて知ったのですが、子どもが生まれたり、家を建てたり、定年退職したり、といったタイミングで甕かに入った泡盛を贈る習慣が結構あるようです。今はそういった泡盛を、愛好家の方が仕次ぎにより各家庭の自慢の泡盛として育てられていることが多いですね。――ということは、仕次ぎのコンクールというのは個人が出品するのでしょうか。[渡辺]仕次ぎのコンクールは個人の方に出品いただいています。昨年は久しぶりに第四回目のコンクールを開催しました。仕次ぎは家でやっているものなので、なかなか広がっていかないところがあります。そのため、一部メーカーで仕次ぎしたものを出されているところや、オリジナルメニューとして仕次ぎしているものを提供している料飲店の部門も作りました。仕次ぎというものが泡盛にあって、お店で買ったり飲んだりできるということを知ってもらおうと思いました。――仕次ぎをすると味わいは違ってくるのでしょうか。います。その中で、泡盛の特徴を海外の方にも知ってもらうために翻訳版を作りました。最近、このコースター(14ページ参照)の英語版も作りました。海外のお酒の流通関係の方々を日本に招聘して、泡盛を知ってもらうという事業で講師を担当する際などには英語版をお配りしたりしています。――お店で泡盛を買って行かれる観光客の外国人の方は多いですか。[渡辺]現場レベルで話を聞くと、まだ泡盛というお酒の認知度は高くないようです。輸出に関しては、日本酒は以前から海外での普及活動に取り組まれていて、認知度が上がり、日本のお酒と言えば日本酒みたいなイメージが強くなってきているように思います。泡盛は、日本人には沖縄のお酒と言えば泡盛という認識があると思うのですが、海外の方にはまだまだというところがあるので、海外に向けたところに取り組んでいます。――仕次ぎについてお聞きしたいのですが、仕次ぎというのは、古酒とは異なるものでしょうか。また、主に一般家庭でやっているものなのでしょうか。[渡辺]近いものではありますが、仕次ぎは少しずつ新しいお酒を足していくので、古酒を造るときの方法の一つです。家でやっているのが今は一般的だと思います。古酒というは、昔は三年以上経ったものが五〇パーセント以上あればいいというルールで、継ぎ足していましたが、表示の不正問題もありルールが厳格になって、最低年数を謳いましょうということになりました。仕次ぎは、新しいお酒を少しずつ足していくというものなので、一割でも新しいものが入ったら、その新しい年数を表示しないといけなくなりました。例えば、一〇年の甕かがあったとして、三年のものを入れてしまうと表示は三年になってしまいまめめ人事院月報 No.905解明・成長・醸成―泡盛を解き明かし未来へつなぐ ~沖縄国税事務所 間税課 主任鑑定官を取材しました~インタビュー15鑑評会で入賞した古酒を代表的な言葉で香りをレーダーチャート化した例。(国税庁HPより)
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