現在は、仕次ぎによるす。そして沖縄に来ました。[家原]私も国税庁での三か月の研修の後、最初に熊本に二年いて、三年目は熊本の酒税課に異動になりました。免許の関係や税務調査などを行っていました。その後は東京局、熊本局、高松局と異動し、沖縄に来ました。鑑定官は本庁が本拠地で出向するような異動ではなく、地方から地方に異動していくような方が多いように思います。――鑑定官という業務の難しいところとやりがいを教えてください。[渡辺]お酒というのは身近なものだと思うのですが、まだ分かっていないことも多く、今後の研究の進展が待たれるところです。また、実際に造っているわけではないのに、造っている方にアドバイスをしなければならないので難しいなと思うこともあ[渡辺]過去のコンクールの結果を比べてみたところでは、仕次ぎをした方がバニラやカラメルといった甘い香りが強く出る傾向があるようです(下図※注3)。影響を更に詳しく調べるために、同じお酒で仕次ぎを行うものと行わないものを比較する貯蔵試験を行っているところです。――鑑定官になった経緯を教えてください。[渡辺]私は薬学部出身で大学院でも学びました。国税庁の技術系採用は、現在は理系全般から広く募集していますが、生物、化学、薬学系が多いように思います。大学の頃はエイズの薬の研究開発をやっていました。所属研究室がバイオ創薬をテーマにとある酒蔵と共同研究をしていたのですが、その縁があってかこの仕事に就きました。[家原]私も薬学部出身で、学部の頃は抗生物質、大学院ではES細胞やiPS細胞に関する研究をしていました。就職を考えていたときに大学内の省庁合同の説明会に参加し、お酒に関する仕事があることを知りました。大学の頃からサイエンスコミュニケーションといいますか、科学の面白さを伝えるということに興味があったので、そういったことができる仕事への就職も考えていました。結果、鑑定官となって、講習会や一般の方向けのイベントなどで講師をする機会も多く、鑑定官になって良かったなと思います。お酒は科学でできているものなので、それを面白く、お酒という分かりやすい媒体を通じて、科学の面白さを伝えることができているなと感じています。――入庁後はどのようなキャリアパスでしたか。[渡辺]私の場合、入庁後三か月の研修を経て国税局に配属されました。最初は名古屋でした。その後税務署でも勤務しました。お酒に関する免許は税務署で出しているのですが、その実務を経験しました。その後、本庁で採用担当や総務を担当しました。その後は熊本、福岡の国税局で勤務し、再度本庁に戻って採用担当や独立行政法人を所管する業務に従事しました。国際会議や国際的な基準作りに対応したこともありま鑑定官として162025 1月号 人事院月報
元のページ ../index.html#18