した人たちが相応の処遇を得て、継続的に勤務できる環境整備に取り組むことが重要である。データ上も僅かかもしれないが、近年の取組の成果が表れ始めていると感じている。総合職試験の申込者総数は微増に転じ、本府省の平均の年間超過勤務時間数は令和五年に初めて減少している。給与面では、約三〇年ぶりの高水準となる今年度の人事院勧告の実施により、例えば総合職大卒の初任給は更に引き上げられ、労働市場で競争力のあるものとなるだろう。これらは一例に過ぎないが着実に変化は始まっており、人事行政諮問会議での御議論も踏まえ、それを加速する年にしていくこと、人材マネジメントの好循環を公務全体に波及させていくことが必要である。もちろん、例えば大規模な災害への対応、大きな制度改革など、ここぞという場面では日常以上の尽力が求められることは変わらないが、何かをなしとげるためには、誰かがやらなければならないことであり、その先には大きな達成感もある。その負担が、一部の職員に過重なものとならないよう取組を強化するとともに、公務の魅力ややりがいを心に響く形で発信していくことが重要であろう。日本人、働く仲間たち、とりわけ若い世代の可能性と心意気を信じ、それがいかされる環境を時代に応じて整備していけば、未来はきっとあると考える。境を整備し、これを通じて、行政サービスを向上し、国民の幸せをより高いレベルで実現することである。幅が広く、根本的な仕事であるだけに、ある意味、個々の実感に乏しい面もあるのかもしれないが、国全体を支えるという、それこそ唯一無二の仕事であり、そういう仕事ができる喜びを感じながら、「ユーザー視点で」国民を常に意識し、「まなざし広く」様々な現場に目配りをしながら、「プロフェッショナルとして」全力を尽くしたい。国家公務員の人材確保は、我が国の最重要課題の一つであり、厳しい現状に対応すべく、広範な改革、改善に取り組んでいる。各府省にも危機感は共有され、人材の確保や育成には、かつてないほど注力がなされつつある。国家公務員や職場の現状は、ネガティブに報道されることも多いが、経験者からすると一面的に過ぎると感じることもある。国家公務員に限らず、仕事、人生、やりがいと苦労に関する実相は複雑である。一緒に働く仲間として、自分の実感で言えば、国家公務員として志を持って働こうという人たちは健在であり、幹部職員を含む多くの職員は、使命感を持ち責任を自覚して職務に精励しており、毎年多くの有為な若者も採用されている。近年は、経験者採用にも多くの府省が取り組んでおり、かつて役所に在籍していた者が民間から復帰する場合も含め、自己の知識・経験を(再び)国のために役立てたいと考える人たちも多く存在している。こう(はぶ・えいじ)03人事院月報 No.905
元のページ ../index.html#5