22025 1月号 人事院月報スタンケンタッキー大学のポリン准教授は、以上のオンボーディングのフレームワークと具体的な内容を表1のようにまとめています。新卒採用者と中途採用者は、組織に参加した際に直面する適応課題は、異なることが分かっています(尾形、二〇二二)。それゆえ、両者へのオンボーディング施策の内容は、異なるものになるのが当然です。筆者が新卒採用者と中途採用者の双方に求められるオンボーディング施策として提唱しているのが、表2になります。紙幅の都合上、それぞれについての詳細を論じることはできませんが施策を実施するために、双方に共通して重要な要素について論じたいと思います。まず、オンボーディングは、企業であれ官公庁であれ、人事部と現場の双方で役割が異なるという点を理解することが重要です。例えば、組織全体でフォーマルな指導役を割り当てる施策をデザインするのは人、これらのなどによって情報を伝えるワンウェイコミュニケーションと人事部員や同僚との対話(ツーウェイコミュニケーション)の機会の双方が含まれます。特に、上司との双方向のコミュニケーションからは、直接多くのことを学ぶことができると論じ、上司との対話の重要性が指摘されています。必要な道具や援助を提供することが該当します。例として、会社の理解促進につながるウェブサイトや会社独自の言語を解説している用語集を提供することなどが当てはまります。のスキルや知識の習得を促進させるために実施されるもので、オリエンテーションやキャリア開発プログラムなどの研修がここに含まれます。特に、新入社員に対するトレーニングプログラムは、多くの企業が実施しており、それがオンボーディングの根幹をなすため、多くのオンボーディング施策がここに含まれます。員を歓迎したり、新入社員と同僚が顔合わせできる機会を提供するなどのプログラム①コミュニケーションは、パンフレット②リソースの提供は、新入社員に仕事で③トレーニングプログラムは、新入社員二つ目の「ウェルカム行動」は、新入社や制度のことを言います。インフォーム行動は、新入社員にとって有益な情報面に焦点が当てられているのに対して、ウェルカム行動は、新入社員の感情面と人間関係の構築に重要な役割を果たすことになります。それゆえ、歓迎風土をいかに社内に醸成するかが重要なオンボーディング施策になるでしょう。最後の三つ目が「ガイド行動」です。これは、新入社員のトランジション(新しい環境への移行)をサポートする個人的な指南役(バディやメンター)を提供することが当てはまります。具体的には、多くの日本企業で、新卒採用者に公式な指導役を割り当てる施策が実施されており、それがガイド行動に当てはまります。新しい環境に参加した個人は、多くの適応課題に直面します。そのような適応課題を一人で克服することは難しいため、目的に応じたガイド役が身近に存在していることは、新入社員にとって心強いサポートになります。このような充実したサポート役を組織から提供することがオンボーディングのガイド行動となります。オハイオ州立大学のクレイン教授とイー2 詳細は尾形(二〇二〇、二〇二一、二〇二二、二〇二四)を参照されたい。06
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