るとのことでした。○人材の獲得と維持〜職場の健康と安全〜職場環境の改善は、公務職場の魅力を高める要因の一つであることに触れ、近年、韓国の公務職場においては職務中の死亡率が高まり、特に自殺事例は二〇一九年の四件から二〇二二年には二二件と大幅に増加しているとのこと、また、公務災害補償額も年々増加傾向にあり、財政を圧迫しているとのことでした。死亡原因は職務中の怪我よりも心疾患や脳卒中等の疾病が多いことから、疾病予防に焦点を当てた研修やガイドラインの提供等を実施しており、こうした取組を通じて健康で安全な職場環境を構築するとともに、公務員の士気を高め、優秀な人材を引き付ける狙いもある旨言及がありました。○韓国政府の人材開発インテリジェント・プラットフォーム近年はAIやビッグデータ分析などデジタル技術の進歩が著しく、このようなトレンドに合わせた政府における抜本的な人材育成改革のため、人材開発インテリジェント・プラットフォームを設立したとの説明がありました。本プラットフォームには、eラーニングや学術論文など二〇〇万点以上の学習コンテンツが格納されており、使議の実施には、準備段階、実施段階、クロージング段階の三つの段階があり、各段階における業務の執行に当たっては、慎重かつ細心の注意、柔軟性、総合的な調整力、丁寧さが重要で、常により良い会議とするため、予算、規模、手法など様々なツールを比較検討することが重要である旨説明がありました。○中国における若手公務員の育成グラムがあり、新任公務員は村などの地方機関に派遣され、最低二年間実地でのトレーニングを積む他、指導的地位に就くための訓練や重要な業務に従事する公務員に向けた専門的トレーニングなど、選抜された者のみが受けることのできる研修もあるとの説明がありました。また、若手公務員に高いモチベーションを持って仕事に臨んでもらうための様々な評価制度を設けており(年に一度の年次評価、二〜三か月に一度の定期評価、特別な成果・実績を挙げた者への特別評価等)、これらの評価結果は、昇進や定期的に実施される表彰の基礎となるとのことでした。○中国における公務員試験と採用の概要は毎年二〇万人を超える者を採用してお中国の若手公務員の育成には様々なプロ中国の国家公務員試験、通称「国考」でり、新規採用者の七〇%を占める一方で、専門的な知識を必要とする業務においては、個別の契約で採用される場合があるとのことでした。採用指針となる原則は、実力主義に基づくことや公平かつ公正であることなどが公務員法により定められており、受験資格は、中国国籍を有する一八歳〜三五歳で、学士以上の学歴を要し、試験合格後は、身体検査や資格審査が実施されるとの説明がありました。【韓国】○年金財政に焦点を当てた韓国の公務員年金制度韓国人事革新処の公務員の年金を所管する部署において、変化する社会情勢、経済情勢等の状況を考慮して年金制度の財政状態を診断する「年金財政予測」が定期的に実施されているとの紹介がありました。年金財政予測は母集団となる公務員従業員数とその母集団の平均寿命、出生率、退職率等からなる人事変数と民間セクターによる賃金上昇率やインフレ率、ファンド運用利益率等からなる経済変数で構成されており、予測期間は四〇〜六〇年で、近年は韓国の出生率が大幅に低下していることが、年金運用においても大きな課題となってい人事院月報 No.907「日中韓人事行政ネットワーク」第16回日中韓三国若手・中堅職員合同研修の開催人事行政報告 11
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