国家公務員災害補償制度の概要Ⅰ 療養補償とは、職員が公務上又は通勤により負傷したり、疾病にかかったりした場合に、その治療に掛かる費用を補填する補償で、負傷や骨折を病院で治療した費用や薬代、病院までの交通費等が支給されます。また、負傷や骨折の治療のため勤務することができず、給与を受けることができないときには、勤務していたとすれば受けることができたであろう給与の六〇%分までを補填する休業補償を受けることもできます。さらに、怪我の治療が終了し、障害が残った場合には、年金や一時金の支給により障害によって発生した損失を補填する障害補償を受けることができる場合もあります。次に福祉事業について御説明します。福祉事業は、補償だけではカバーしきれていない部分について、被災職員の社会復帰の促進や被災職員とその遺族の生活の支援のために、付加的に行う給付です。補償に対する付加的給付であるため、補償と福祉事業は組み合わせて支給されることが多く、先ほどの例で言えば、補償の休業補償では先述のとおり勤務していたとすれば受けることができたであろう給与の六〇%分までを補填しますが、国家公務員災害補償制度とは?1 国家公務員災害補償制度とは、仕事中や通勤中に災害(負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。)を受けた国家公務員(被災職員)に対し、その災害によって生じた損害の補填(補償)と社会復帰の促進及び生活の援護のために必要な付加的給付(福祉事業)を国が支給する制度です。民間でいうところの「労災補償制度」に相当します(図1)。補償や福祉事業とは?2 主な補償や福祉事業は図2のとおりで、様々な種類があります。それでは、例えば、仕事中に資料作成のためにカッターを用いた際指を切って負傷した、通勤中に階段を踏み外して転倒し骨折した、といった場合に、どのような補償や福祉事業を受けることができるか、御紹介いたします。まずこのような場合に受けることができる補償を御説明します。特に実施数が多い補償としては療養補償があります。⑴⑵人事院月報 No.907 13 皆様は国家公務員が仕事により災害にあった場合、どのような支援を受けることができるか御存じでしょうか。国家公務員災害補償制度では、国家公務員が仕事や通勤に起因する怪我や病気になった際に、治療費の支給や給与の補填等の支援を国が国家公務員に対し行っています。災害補償には様々な給付があり、制度も少々複雑です。そのため、万が一被災してしまったときのために、国家公務員災害補償制度を理解しておくことは有意義であると思います。 そこで本稿では、国家公務員災害補償制度の概要とその実施状況について、最新の国家公務員災害補償統計のデータを用いて御紹介いたします。皆様に災害補償を少しでも知っていただけましたら幸いです。人事行政報告職員福祉局補償課初心者でもわかる!国家公務員の災害補償~令和5年度国家公務員災害補償統計から~
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