【中国事務局】中国事務局(広島市)では、令和六年一一月二九日(金)に、広島大学名誉教授であり、同大学ハラスメント相談室非常勤相談員の横山美栄子氏による講演会を開催しました。ハラスメントをめぐる最近の変化近年、セクハラだけではなく、パワハラ等の法整備も進み、ハラスメントに対する組織としての社会的責任やコンプライアンスが一層問われるようになってきました。ハラスメントが報道等で取り上げられる機会も多く、より良い労働環境の提供を求める社会的なニーズも高まっています。そうした中で、ハラスメントを特定の人たちの個人的な行為として捉えるのではなく、職場全体で守るべき倫理の一つであるとする共通認識ができつつあります。職員個人についても、被害者にも加害者にもならないために、ハラスメントに関する知識と考え方をアップデートしておく必要があります。カスタマー・ハラスメントとその対応カスタマー・ハラスメント(以下、「カスハラ」という。)とは、顧客・利用者からの暴行、暴言、不当な要求などの著しい迷惑行為をいいます。不当・悪質なクレームは、働く人に重大な精神的ストレスを与え、業務に支障を生じさせるとともに、組織に時間的・経済的損失を招きます。カスハラ行為への対応としては、相手に対する態度や姿勢が組織共通のものとなるよう、あらかじめ判断基準を明確にし、組織内の考え方や対応方針を統一して、現場と共有しておくことが非常に重要です。また、カスハラの判断に当たっては、その行為が事実であるかどうかを確かな証拠に基づいて確認し、サービス等に瑕疵や過失がない場合は要求等には応じない、とする毅然とした態度が求められます。繰り返される不相当な行為に対しては、職員一人で対応させることなく、複数名あるいは上司等責任者が対処するなど、組織的な対応が必要です。加えて、カスハラにより被害を受けた職員のメンタルケアも忘れてはいけません。う、管理職員を始め、一人一人が、ハラスメントを許さない職場の雰囲気を作る必要があります。周囲の気付きも重要です。ハラスメントに当たりそうな行為がエスカレートしてハラスメントへと発展していくことが多いため、例えば、長時間にわたる叱責など、ハラスメントに発展しそうな行為を見たら直接声掛けをするか、上司に相談するなどの早めの対応を行うことが大事です。被害者は、声を掛けてもらう、話を聞いてもらうだけで「一人ではない」「理解してくれている人がいる」と救われることが大いにあります。職員一人一人にはできることがあります。行動に移すことでハラスメントのない職場作りをしていただければと思います。ハラスメントのない職場を目指して人事行政報告人事院月報 No.908福島渚氏15
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