人事院月報 2025年4月号 No.908
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【九州事務局】九州事務局(福岡市)では、令和六年一二月二日(月)に、西南女学院大学人文学部教授の倉富史枝氏による講演会を開催しました。ハラスメント行為は人権侵害ハラスメントとは、力関係を利用し、相手の意に反した言動を行い、不利益・損害を与え、個人の尊厳を損なう行為です。また、組織の中で行われることから、継続的な人間関係(=力関係)があるため、繰り返されることが多く、被害者の心身に甚だしい影響をもたらすこととなります。近年、従前から問題となっているセクハラ、パワハラに加え、性別役割分担意識(ジェンター意識)を押しつけるジェンダーハラスメント、妊娠・出産等に対するマタニティハラスメントや、正論を過度に強く主張して相手を追い詰める正論ハラスメントなど、ハラスメントの種類が多様化してきています。いずれにしても、ハラスメント行為は、被害者が安全に働くことを侵される「人権組織のトップのメッセージが重要ハラスメント防止のためにできることとまた、相談先として職場の上司の割合が侵害」であるという意識を強く持つ必要があります。ハラスメントが組織に与える影響職務命令を出す上司がハラスメント行為(人権侵害)を行うならば、その上司の命令は聞かなくてもよいと考えるメンバーが出てくることによる職場における秩序の乱れや、被害者だけでなく加害者の味方に付く人も出てくることで生じるメンバー間の信頼関係の喪失といった問題が起こるとともに、被害者自身もハラスメントに起因したうつ病などにより出勤できなくなるなど、業務に多大な支障が出てきます。さらには、このような事実が公表されてしまうと、国民からの不信感による組織のイメージ悪化や、訴訟等による経済的・時間的負担の増大などの影響も出てくることとなります。「心理的安全性」のある職場を作るために率直な意見を出せる、自分の間違いを認めることができる、新しいアイディアを提案できるといった対人的リスクのある行動を取っても、このチーム(職場)は安全だして、まずは、組織のトップが「ハラスメントは許さない」という明確なメッセージを発信することが最も重要です。最も高いことからも、職場全体で、相談しやすい環境作りに取り組むことが大切です。管理者等が、日頃から各職場において、適時適切に注意喚起や関係調整等を行っていくことが、ハラスメント問題を深刻化させないためのポイントといえます。横山美栄子氏162025 4月号 人事院月報

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