人事院月報 2025年4月号 No.908
5/40

まで杓子定規なまでに報告書を提出させるということが必要なのか、ということは感じています。また、利害関係者との会食は割り勘であっても一万円を超える場合は届出が必要ということに関しても、現下の物価高騰を考えると引き上げを検討してもよいのではないかと思います。民間と国家公務員の付き合いが希薄になればなるほど、つまり一般国民から国家公務員の存在が遠くなればなるほど、行政に対する不満を生じさせ、SNSなどによるマイナスの情報発信につながるという悪循環に陥る可能性があります。実際にインターネット上では、国家公務員に対する様々な不満が書き込まれていますが、国家公務員の現状を知らない人が感覚だけで書いていることが多いと感じます。そのような中、官と民の連携を深めていく必要があるとい常識的なかかわりが当然あり、それは大切なものです。利害関係者以外の者との付き合い会に出席しました。意見交換のテーマの一つが人材確保に関する取組についてでした。つまり、最近、学生にとって国家公務員の仕事が魅力的な職場ではなくなっているがどうすればよいかということです。そこで、公務員が置かれた立場が非常に厳しい状況にある、労多くて功少ないというイメージが強調されて、優秀な人材が集まりにくくなっているのではないかという思いを強くし、そのような意見を申し上げました。主体性が相対的に低くなっているのではないかと感じます。これまでは国家を支えるという使命感からやりがい、仕事の面白さを感じて、たとえハードな仕事であっても職務を全うしてきたと思いますが、そのような色彩が薄れていくと、つらいと思う機会が多くなると思います。近年、政策の立案における国家公務員の勤務条件を改善することも一つの解決方皆さんも同じような気持ちかと思います。六月に高松市で開催された公務員問題懇話法かもしれませんが、一方で、かつての不祥事がきっかけとなって、非常に厳しい倫理規程が置かれました。もちろんそれは必要なことで、遵守する必要があることは当然のことですが、あまりに細かく規制しすぎると、「公務員は大変そうだな」というイメージになって人材確保がますます難しくなる可能性がありますし、国家公務員の働きやすさも考える必要があるので、そのバランスが今後の課題ではないかと感じています。湯本氏 読売新聞に入社してから一番長く携わったのが政治部の記者で、政と官の関係を近くで見てきました。国家公務員と飲食を共にして意見交換をする機会も頻繁にあります。そのような中で国家公務員の皆さんは倫理感が非常に高いと感じています。過去に深刻な不祥事があったことはもちろん把握していますが、そういった過去の例にいつまでも引きずられる時代は、もうそろそろ終わりにしなければならないのではないか、というのが現在の認識です。個別の論点でいえば、利害関係者とそれ以外の者との扱いはもう少し明確に分けてもよいのではないかと思います。国家公務員には利害関係者以外の者との一般的で、藤岡氏湯本氏人事院月報 No.908国家公務員倫理の現状・今後の課題と展望~国家公務員倫理に関する座談会を開催~人事行政報告       03

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る