芝氏 事前に、倫理審査会のこれまでのまた、最近の職員アンケートの結果等をそのような中で、近年、収賄や官製談合数が民間からの出向者、その他も他省庁からの出向者で占められており、組織としての一体感を維持することがなかなか容易ではないという特性があります。また、民間との関係が密接で情報漏洩が危惧されるなど、他省庁にはないコンプライアンスリスクを有している面があります。そういった中でのデジタル庁の取組の一つとして、ミッション、ビジョン、バリューを策定し、浸透を図っています。特にバリューは、組織内で十分議論をして、皆が納得できる分かりやすいものを作ったということもあり、出向者が入れ替わっても、バリューの意味を皆が理解して職務に取り組むということがかなり根づいている印象です。このような取組は、組織風土の変革や資質の向上につながるものと思います。二点目は、マネジメント力の強化です。一例として、財務省では森友学園の事案などを契機に、組織の再生を目指して外部有識者を交えたプロジェクトを遂行しており、既に七年目になりますが今もしっかり議論がなされ、機能しているように見受けられます。また、令和六年度から取り組まれている同省幹部によるマネジメント宣言は、幹部が自らそのマネジメントの在り方について考え、それを宣言させることにようのが私の実感です。国が民間企業に資金を出して全面的にバックアップし、国際競争力を高めるといったことも世界的に普通に行われていますので、官と民を切り離す考えからは徐々に脱却していく必要があると思います。ただし、政治家が関与する不祥事は国民が抱く不満も大きく、国政に多大な悪影響を与えますので、政治家との付き合い方は気をつけるべきと考えます。取組を拝見しました。こうした取組をしたらよいのではと私が思うものは大体網羅されていて、良い取組をされてきていて非常にすばらしいと思いました。見ても、その取組が奏功して、公務員倫理制度は着実に浸透、定着してきていると感じます。そのような意味で、仕組みは整っているのではないかと思いますので、今後の課題としては、制度にいかに魂を入れるか、形骸化を防ぐかということだと感じています。などのようなある意味公務員の典型的な不祥事ではなく、例えば、所管業務の制度を悪用した新型コロナ給付金詐欺事件やインサイダー事件など信じ難い不祥事が起きており、ゆゆしき事態だと思っています。その原因として考えられるものとしては、アンケートの結果にも表れているように、個々人の資質と、幹部・管理者のリーダーシップやマネジメントの欠如が挙げられるのではないかと思います。個々人の資質に関しては、採用段階でのスクリーニングには当然限界があり、採用してから資質を向上させていくこと、あるいは、問題のある人を早く発見してしかるべき対応をすることが重要です。対策として三つ考えられると思っています。一点目は、より良い組織風土の構築です。風土がよければ、人もよくなり、仕事も充実します。しかし、良い組織風土の構築は言うは易しでとても難しく、時間が掛かりますし、簡単に変わるものでありません。良い取組の一例として、私がコンプライアンス委員会の委員を務めているデジタル庁の取組を挙げます。デジタル庁は職員の約半芝氏2025 4月号 人事院月報 04
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