人事院月報 2025年4月号 No.908
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なっていると思います。国家公務員の交際範囲を必要以上に狭めるべきではなく、基本的に利害関係者以外との関係は自由でよいのではないかと思っています。湯本氏 会社組織内の雰囲気を変えるためには、幹部・管理職が考えを変えられるかどうかによるところが大きいと思います。幹部の振舞いは部下に伝わります。職員に対する研修については非常に丁寧にやっていると思いますが、管理職や幹部の中に、企業との付き合いをセーブするのはむしろ自らの組織にとってマイナスなんだと言える人が増えることが、全体の雰囲気を変えることにつながると思います。幹部・管理職に対する意識付けとして、民間企業との付き合いも重要な要素の一つであるということを分かってもらう機会を設けることも考えられると思います。芝氏 飲食規制の在り方については、現状に大きな問題はないと思っています。社会全体の流れとしてコンプライアンス意識は高まっていますし、かつては許されたものが許されなくなるということが多くなっていると実感しています。国民から厳しく見られがちな中で、緩めるというのは、緩り実効性を検証し得るという有益な取組で、他省庁にとっても参考になるのではないかと思います。す。各組織のコンプライアンスリスクは、業務内容、人、組織の変化によって変わります。定期的に棚卸しを行って、幹部自ら組織のリスクはどこにあるかをしっかり見直して、対応していく必要があります。実効性の確保です。通報件数の確認だけでは不十分で、例えば、制度の信頼性、調査方法、調査結果を踏まえた組織的な対応などについて、有効なものとなっているか、場合によっては外部の専門家も交えて定期的に評価・検証を行うべきと考えます。が、官民が一体となって取り組むという、二五年前にはここまで想定していなかった事態が生じていて、倫理の問題についてもどのように対応していくかというのは一つの大きな課題と考えています。の意見交換を控えるということがあってはならないと考えているところです。国家公三点目は、リスクマネジメントの強化でまた、強調したいのは、内部通報制度の○今後の公務員倫理施策の在り方秋吉会長 デジタル庁の話がありました一方で、倫理規制があるために事業者と務員の行動原理として、ルール上許されることでもセーフティーマージンを取るところがあり、その心理に対してどのような働きかけをすればよいかという問題意識があります。また、公務員倫理の遵守を強調しすぎると、これはいけない、あれはいけないといった後ろ向きな話になるので、倫理保持に関する新たな価値観を設定し、より前向きに倫理保持の実践を行うことができないかと考えているところです。これらを考える上でヒントとなるものがあればお話しください。藤岡氏 規制を意識しすぎると、それならばやめてしまおうと引いてしまうことがあると思います。許容範囲の実例を示すなどして、チャレンジングにここまでやってみようという人が実際に出てこないと、なかなか意識が変わらないと思います。国家公務員の皆さんはセーブする方向に働きがちだと思いますので、違反の事例ばかりではなく、ここまでは大丈夫という実例を積極的に例示するなどすると分かりやすく思ってもらえるのではないかと思います。また、利害関係者以外との付き合いの線引きが不明瞭なところがあり、国民一般にも国家公務員自身にも分かりづらいものと人事院月報 No.908国家公務員倫理の現状・今後の課題と展望~国家公務員倫理に関する座談会を開催~人事行政報告            05

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