人事院月報 2025年4月号 No.908
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もしれませんが、もう少し工夫できるのではないかと思います。藤岡氏 二、三〇年前は、国家公務員は国家を支える仕事で、国家を語り、それがプライドとなっていたと思います。現在、プライドが支えられるだけの生きがいを皆さん持つことができているのかということは気になっています。世の中全体が、収入の高さや自分自身のステータスはどうかという方向にシフトしていく風潮がありますので、そのような業界、職種に太刀打ちするだけの魅力が国家公務員にないといけないと思います。国家公務員が国家を支えているということを、知っている人は知っていますが、知らない人は全然認識していないので、こういうことをやっているというアピールをしないといけないと思います。倫理についても、日本の国家公務員の倫理感は世界に冠たるものだと思いますので、どんどん宣伝していった方がよいと思います。湯本氏 倫理の話だけを突き詰めても解決しない問題があるのではないかと思っています。皆さんがおっしゃるように、国家公務員を取り巻く課題は公務の魅力をどうかと心配です。時勢を考えると事務的な制約はなるべく簡略化した方がよいと思います。学生ら若者がどうすれば国家公務員の仕事に魅力を感じてくれるようになるか。そうした観点を忘れずに、倫理法令の在り方を考えていくことが大切ではないでしょうか。実情に触れる機会を持つようになって、公務が本当に魅力的な職場になっているかということを真剣に考えなければいけない時期が来ていると感じています。取り組んでいる方も多くいます。公務全体としてルールは遵守されており、皆が真摯に取り組んでいる状況にあり、そのような意味で国家公務員が誇れる職業だということを外から評価されるようにできないかと感じています。国家公務員という職種のステータスを上げるために工夫できることはないかと考えていますが、何か御意見があればお話しください。用された頃は、周囲は皆志が高く、公のために仕事をするという強い意識を持って国家公務員になる人ばかりでした。また、多くの上司の下で仕事をしましたが、すばらしい人たちばかりで、こうなりたい、あるいはこういう人と一緒に仕事したいと思うようなロールモデルとなる人がたくさんいました。そのような人がいないと、若い人が将来を見通せず、その結果、意識が低くなったり、若くして辞めてしまったりといったことにもつながり得ると感じています。幹部職員のマネジメント力や、幹部の仕事ぶりに関する魅力が弱まっているのではないかという危機感もありますので、上司が自分の背中で見せるというようなところは頑張っていただきたいと期待しています。また、期待値ギャップがあるのかもしれないとも感じています。志を持って入ったものの、期待していた仕事内容とはだいぶ異なると感じ、そのような実感が学生たちに伝わって就職の選択肢に入らなくなっているということがあるのではないかと危惧しています。大きなギャップが生じないよう、仕事ぶりの透明化を図り、学生になるべく実態が分かるようにして、国家公務員の仕事は国のため、人のためになっているということを分かりやすく説明するといった取組は、倫理審査会の仕事ではないのか○国家公務員の魅力の向上山下委員 倫理審査会委員として公務の一方で、非常にプライドを持って仕事に芝氏 私は元国家公務員ですが、私が採人事院月報 No.908国家公務員倫理の現状・今後の課題と展望~国家公務員倫理に関する座談会を開催~人事行政報告        07

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