人事院月報 2025年5月号 No.909
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不祥事の防止に向けて三 四 五 し、行政の円滑な運営を図っていくためには、職員が国民全体の奉仕者としての使命を自覚し、厳正な規律と高い倫理観を保持しつつ、その職務に精励することが何より肝要です。また、不祥事が発生した場合に践させるための各種教材の作成・提供などを行っています。加えて職務の相手方となる事業者や国民に対して、各府省から所管業界等へのアプローチを活かし、倫理規程の内容や倫理保持の取組に関するPRを進めるとともに、令和六年度は国家公務員倫理審査会会長及び委員が公益社団法人経済同友会の幹事会に出席し、国家公務員倫理のルールに関する説明を行うなど、研修・啓発活動の充実・強化に取り組んでいます。このほか、ハラスメントの防止の観点からは、全職員向けの自習用研修教材の改訂、パワー・ハラスメントに関する研修動画の作成・提供、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催、ハラスメント相談員用マニュアルの提供により、各府省の支援を行ってきています。また、令和五年度から、「幹部・管理職員ハラスメント防止研修」について、組織マネジメントの観点も反映したより実効性のあるものとなるよう見直して実施するほか、ハラスメント相談員向けの専門家の相談窓口の設置の取組を行っています。引き続き、各府省等において、職員の服務規律の確保と違反に対する厳正な対応が行われるよう、中立公正な人事行政の専門機関として、服務規律徹底のための取組を実施してまいります。上保安庁の職員一人に対して停職処分が行われた。処分の種類別にみると、免職二〇人(前年比八人増)、停職五〇人(同七人減)、減給一三四人(同二四人増)、戒告八一人(同二○人増)となっています。処分事由別にみると、全体では公務外非行関係が一〇五人(前年比二八人増)と最も多く、次いで一般服務関係九一人(同二〇人増)、交通事故・交通法規違反関係三四人(同三人減)、通常業務処理関係二一人(同九人減)、横領等関係十四人(同六人増)の順となっています(表2参照)。処分数のうち、処分事由にセクシュアル・ハラスメントを含むものは四六人(前年比一六人増)であり、処分事由にパワー・ハラスメントを含むものは一八人(同七人増)となっています。公務に対する国民の期待と信頼を確保は、各府省等において、速やかにその事実関係を把握した上で懲戒処分を行うなど、厳正に対処し、併せて具体的な再発防止策を講じていくことが重要と考えています。人事院としても、国民全体の奉仕者としての服務・懲戒制度全般の趣旨の徹底のための取組として、懲戒処分を行うに当たっての参考に供することを目的とした懲戒処分の指針や懲戒処分の公表指針を策定しております。また、令和六年度においては、本府省、地方支分部局等の人事担当者を対象に服務・懲戒制度の説明会を実施したほか、音声解説付きの服務・懲戒制度説明資料の提供を通じ、制度の周知徹底を図ったところです。これらのほか、幹部職員を対象とした、組織統括者としての役割認識の徹底を図るための研修の実施、各府省等における研修等に資する新規採用職員・中途採用職員向けの義務違反防止ハンドブックの作成・配布、eラーニングシステムを活用した服務・懲戒制度研修の実施など様々な取組を行ってきたところです。国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程の遵守に向けては、国家公務員倫理審査会において、広く地方機関に勤務する職員をも対象とする有識者Web講演の実施、双方向型の研修の提供、倫理法等遵守を実人事院月報 No.909令和6年の懲戒処分の概況について人事行政報告     17

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