民間企業との比較職業倫理について民間企業と比較して考原点・初心にかえる皆さんがどのような動機、目的で国家公囲気が挙げられます。不祥事の原因を一個人の資質として片付けてしまわないことが重要です。自らが所属する組織や部署において、どこにリスクがあるかについても考えていただきたいと思います。特に地方機関を抱える組織においては、本省と地方との間に情報の格差が生じる可能性があり、意識の高まりなどに地域差が生じたり、目が行き届かなかったりというケースもありますので、今一度、リスクが放置されていないか確認していただきたいと思います。不祥事が発生した際には、的確な事実調査が必要であり、調査の視点などについて確認をしておくことが重要となります。的確な調査を行う中で組織のルールの甘さや管理体制の不備などが見えてきます。次に再発防止策の効果検証です。再発防止策を講じたにもかかわらず不祥事が再発するという事例も散見されます。策定した再発防止策が現場の人たちに意識されていなかったり、体制が変わり継承されていなかったりすることもありますので、意識的に検証していただきたいと思います。その上で私が重視しているのは、管理職の問題意識の持ち方です。昔と比べるとコミュニケーションの取り方にも変化が生につながり、円滑に安心して職務を遂行することができます。えた場合、民間企業の方が緩やかなのではないのかという印象を持つ方もいると思います。国家公務員は倫理規程などで細かな金額、手続、報告などが定められており少々大変だという印象を持つかもしれませんが、民間企業においても、全てに目を通すことは困難であるくらい多種多様でかなり厳しい内容を定めていることが一般的になっています。時代の変遷とともに民間企業に対しても厳しい目が注がれる中で、倫理を含めた行動規範を定める企業が大多数であり、これなくして企業活動を継続することは難しく、ルールが甘い企業は淘汰される時代であるという認識が一般的になってきていると思います。務員という職業を選択したのかについて原点に立ち戻ってみてください。皆さんは国家公務員に採用された際、服務の宣誓をしたと思います。信頼を得るために必要なことは、宣誓書に記載されている内容に尽きるのではないかと思います。誰かから強制されて身に付ける心構えではなく、皆さんが元々持っているものが具現化されているものではないかと思います。採用された当時の思いや目的を大切にして、その中に倫理というものを位置付けていただきたいと思います。また、時代の流れと社会常識を意識していただきたいと思います。時代とともに価値観や世の中の見方は変化し、国民、マスコミからの目線、さらには司法判断も変わり得ます。特に幹部・管理職員の皆さんには、いかにして時代の流れを汲み取るかについて意識していただきたいと思います。不祥事を起こさない職場風土不祥事を起こさない職場風土、組織づくりのために取り組むべきこととして挙げられるのは、まず、不祥事の原因把握です。所属する組織で過去にどのような不祥事があり、その原因は何かということを把握することが重要です。不祥事の原因としては、動機、背景、文化、習慣、構造、土壌、雰242025 5月号 人事院月報
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