か人事院月報 No.909令和6年度 倫理に関するWeb講演 時代と国民に寄り添う国家公務員を目指して人事行政報告日常業務における留意点私が様々な組織の不正などを見てきた中公私混同に厳しい目が向けられている身近なルールを守れているか決裁ルート・手順を遵守しているか問題意識を持って決裁・会議に臨んでいるか部下を観察しているか最後に国家公務員は日本の礎であり、国家の土台となるものです。皆さんが取り組む国民生活に直結する国家プロジェクトや公共政策は、国民の大きな期待と信頼の上に成り立つものであり、倫理の実践はそれを成し遂げるためにも非常に重要です。若手の皆さんにおかれては、国家プロジェクトに関わることを思い描いて国家公務員となったのに、実際には、様々な下資料作りや細かな作業に追われることが多く、今後の役に立つのかと考えたり、自分がやりたいことではないと思ったりすることもあるかもしれません。しかし、私の経験では、若い頃の経験は間違いなく将来の糧になると思いますし、組織の一人一人の役割が重要で、お互いの結束が強くなければ組織は健全に機能しません。今ある仕事に真摯に取り組むことは何ら無駄ではありませんし、将来必ず役に立つとの心構えで職務に励んでいただきたいと思います。今後も日本の将来のために、目の前の職務に邁進し、よりよい国家プロジェクト、あるいは公共政策といったものを実現していただきたいと思います。じ、懇親会などの機会も少なくなる中で、どのような問題意識で部下と接していくかということを一層意識する必要があると思います。部下の様子に関心を持たないということはあってはなりません。出勤した時の雰囲気、会話での表情や口ぶりなどに異変があれば気付くことができるよう意識していただきたいと思います。一方で、個別のケースを見ると、管理職や指導をする立場の人が孤立してしまい、組織としての対応ができていないのではないかという懸念もみられますので、組織としてこれらの人をバックアップする体制を整えることも重要と考えます。で考える日常業務における留意点をいくつかピックアップしたいと思います。・ ・ ・ ・ ・ 常にアンテナを張っているか(感度を・ 高めているか)常にアンテナを張っているかについては、特に組織を束ねる幹部・管理職員に意識していただきたい点です。感度を高めるためには、時代の流れを読み外部の目を意識することが重要です。通報窓口を有効に機能させるために弁護士として各府省の通報窓口に関わる中で、通報が適正に取り扱われていなかったり、有効に活用されていなかったりする事例も見受けられました。厳しい言い方になりますが、各府省における取組は民間企業より立ち遅れているケースもあります。通報窓口を有効に機能させるためには、まずは通報制度の目的や存在について周知することが必要です。また、通報窓口に通報がなされることを前向きに捉え、隠れた問題やリスクを減らし、組織の健全化を図るためのツールとして活用していただきたいと思います。25
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