人事院月報 2025年5月号 No.909
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とされています。(注7)質問権行使の実態質問権は政府を統制する手段であるため、主として野党によって活用されます。特に大・小質問は政府の政策的方向性を監視する手段として、ほとんどが野党から提出されます(表2参照)。質問数は全体として増加していますが(次ページグラフ1及びグラフ2参照)、各議員の書面・口頭質問は、大・小質問ほど利用し尽くされているわけではない(Klei(注6)(G人事院月報 No.909ドイツ連邦議会の質問制度とその実態研究ノート (nichterschöpft)Bericht)roßeAnfrage)と特定の事実にneAnfrage)、各議員が政府に書面(Stenografischer書面質問は、会派又は一定数の議員が重要な政治的問題について政府の答弁を求める大質問ついて政府に情報提供を求める小質問での答弁を求める質問の三種類があります(表1参照)。口頭質問の質疑と大質問に基づく審議はいずれも本会議で行われ、また、口頭・書面質問の質問内容と答弁は、議会文書や議会速記録トで公開されます。このようにして、国民の誰もが情報にアクセスできるようにしています。における活発な討論を促すとともに、議会が効果的に政府を統制できるよう、対政府質問の時間延長(三〇→六〇→九〇分。他方で、質問時間は一八〇→九〇→四五分と短縮)、出席する大臣の最低人数の設定、年三回の首相の答弁の導入、質問者に追加質問を可能にする措置など、対政府質問の制度を充実させる改正を実施しています。にまとめられ、議会のウェブサイなお、口頭質問については、近年、議会表1質問制度の概要各質問の野党提出割合(%)表2大質問重要な政治的問題について政府の答弁を求める質問制度。特定の事実について政府に情報提供を求める質問制度。提出には連邦議会の一会派又は総議員の5%の署名が必要。議長に提出。政府から答弁が提出されると議事日程に載せられ、連邦議会の一会派又は総議員の5%が要求した場合には審議が行われる。連邦首相府に質問が通告されると、直ちに(遅くとも3週間以内)、答弁するか否か及びその時期を書面で通知。答弁期限は6か月以内(連邦議会と連邦政府の申合せ)。答弁は通常、閣議決定される。連邦首相府に質問が提出された後、原則として14日以内に書面で答弁。期限を守れない場合はその理由と答弁予定時期を書面で通知。書面質問小質問各議員の書面質問議員が政府に書面での答弁を求める質問制度。・月に4問まで。・期限内に答弁されない場合に、質問者は、直近の質問時間での口頭答弁を求めることが可能で、前日12時まで議長に申請。連邦首相府に質問が提出された後1週間以内に書面で答弁。質問制度の種類対政府質問・議員が政府に時事的な問題について口頭での答弁を求める質問制度。・会議週(注)の水曜13時から、90分。(年3回の対首相質問は60分)・事前の質問通告はないが、政府は閣議(水曜に実施)の議事日程を会派に連絡。・実態として、出席大臣が最初の8分以内で行う報告、出席大臣の所掌、閣議の内容に関する質問が中心。追加質問可。概要提出・通告ルール等大臣が最低二人出席し、答弁。各省の専門的テーマに係る質問の場合、出席しているその他の大臣又は当該省の政務次官が答弁することも可。年に3回は首相が答弁。行政府の対応(注)会議のある週(会議週)が2週間、会議のない週が1~2週間を繰り返すこととなっており、夏休みなどもあるため、会議週は年に約22週。口頭質問質問時間(各議員の口頭質問)・議員が政府に口頭での答弁を求める質問制度。・対政府質問の後に実施され、最長45分。・質問は議長に提出。前の週の金曜10時までに議長に、12時までに政府に必着。・一会議週の質問時間につき、各議員2問まで。質問者の補充質問は2問まで。・連邦首相府は所管省幹部の誰が答弁に立つかを議会に連絡。通常は所管省の政務次官が答弁に立つが、大臣が答弁する場合もある。・出席者の質問のみ答弁。質問者が委員会への出席で質問時間を欠席する場合、時間が足りず質問時間に答弁できない質問は書面で答弁。98.166.998.880.999.196.399.798.9100.093.998.998.298.997.7100.098.065.978.987.996.377.993.690.096.5表二 各質問の野党提出割合(%)選挙期大質問小質問口頭質問書面質問12(1990-1994)85.713(1994-1998)89.714(1998-2002)95.115(2002-2005)100.016(2005-2009)98.417(2009-2013)96.318(2013-2017)100.0100.019(2017-2021)Das Datenhandbuch des Bundestages, 11.4 OppositionellesVerhaltenを基に筆者作成。 なお、選挙期(Wahlperiode)は連邦議会選挙後の最初の開会日から次の選挙後の最初の開会日までの期間で、通常4年。議会期、被選挙期ともいう。27

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