人事院月報 2025年5月号 No.909
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)(()(ス()人事院月報 No.909ドイツ連邦議会の質問制度とその実態研究ノート (inseltenenAusnahmefä【書面質問 二〇二四年】ショルツ政権(SPD、緑の党、自由民主党FDPの連立)において、CDU/CSUの議員が、現政権下で第三者(団体や学者等)が関与した政府提出法案、謝礼の有無とその額について質問しました。この書面質問に対して、連邦内務省の政務次官は、「既存の統計はなく、四三九の法案について調査するのは許容し得ない労力を要し、謝礼等の調査についても同様である。各省の原課で関係書類を探して確認する必要があり、許容し得る労力では不可能で、調査に関わる部署では本来業務を適時に遂行できなくなるであろう。答弁期限を延長してもこの状況は同じ」と答弁しており、前述の①と⑤を理由にしています。(注17)【小質問 二〇二三年】左翼党の議員及び会派が、元大臣や議員、政府高官のロビー活動について、全二〇問から成る小質問を提出しました。連邦政府は、そのうちの三問(連邦議会のロビー登録簿に登録されている元大臣や次官、議員など一一六人を列挙して、接触回数・方法、テーマ等を質問)については答弁できないとし、その理由として、「調査に要する労力は許容し得えず、調査に関わる部署ではVorbemerkung)で説明しています。例本来業務を適時に遂行できなくなるであろう。答弁期限を延長しても結果は同じ」と説明しています。さらに、その根拠として、「調査対象を限定しても、答弁には八八の部署で詳細な調査が必要である。接触対象者一人当たりの調査時間を五分と仮定しても、一一六人で約九・五時間。一部署につき約九・五時間と仮定して、八八部署で八三六時間を要する」ことや、必要となるであろう調査を詳述しています。その他の質問については範囲を限定して答弁しており、その限定理由を前置きえば、調査対象を閣僚と政務・事務次官に限定することについては、ロビー登録法の趣旨を説明した上で、課長級以上を対象とすると内務省だけで一五〇人以上となり、調査に要する労力は許容し得ず、関係部署は適時に職務を遂行できなくなるであろうこと、また、議会の質問権は政治的統制であるので、実務レベルまで対象とするのはその限度を超えていることを理由としています。また、閣僚や政務次官が連邦議会議員として行った接触を調査対象外とすることについては、質問権を利用して他の議員を監視することは議員の任務ではないことから、そのような質問は議員の職とは関係⑦第三者の基本権を守るための必要性。例が答弁を拒否するのは例外的なケースですが、その事例をいくつか紹介します。【質問時間 社会同盟CDU/CSUとドイツ社会民主党SPDの連立)において、同盟90/緑の党(緑の党)議員が、CDU/CSU会派勤務から連邦経済・エネルギー省に採用された職員数について質問しました。この質問に対して、同省の政務次官は、「前職に関する統計は取っておらず、二〇〇九年に遡って調べることは許容し得ないほど膨大な人的・時間的労力を要し、期限内に調べられない」と答弁しており、前述の①を理由にしています。(注16)上の秘密を守る効果的な予防措置を取れば問題にならず、国家の安寧が情報提供の妨げになるのは極めて稀な例外的ケーる判例が出ました。(注14)えば個人情報の保護、企業秘密や営業の秘密の保護が考えられます。(注15)答弁拒否の事例政府には答弁する義務があるため、政府二〇二一年】第四次メルケル政権(キリスト教民主/llen)とす29

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