人事院月報 2025年5月号 No.909
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げ救助を成功させました。大きく揺れる船上で背後の波や傾斜具合を確認しながら、一緒に活動した隊員が構造物の影から出そうな場面では、安全な場所に引っ張り入れるなどをして、無事に完遂できました。純粋に人の命が救えたときはこれ以上ないやりがいを感じます。助けられた方々が安堵の表情をされたり、御家族のもとに帰れたときは、命の尊さはかけがえのないものであると改めて痛感いたします。御礼の手紙が届くこともあるのですが、胸が温かくなり、本当にこの仕事を続けてきて良かったなと思うとともに、まだまだ技能を向上させなければと心の背筋が伸びる思いになります。また、積み重ねてきた訓練により、とっさの判断や臨機応変な対応ができたときは、成果を感じられ嬉しく思います。時代とともに、船の大きさや性能、運送するものが変わっていき、マリンレジャーも多様化していきますが、自然の猛威における人の無力さは変わりません。これまで同様、悲しい事象が起きないよう、無事に家族のもとへ帰れるよう、海での事故には十分気を付けていただきたいと思います。その上で、海を好きになって、楽しんでいただければ幸いです。私たち海上保安庁は、今後も日々研究・訓練を重ねてしっかりと備えていきますので、出動がないことが一番ではありますが、もし万が一の際には安心していただければと思います。見つけ、調べて解消することで、理論的に分解でき、本質を見抜くことができると考えています。「?」をいくつも見つけ、それらを「!」に変えることです。また、他者の経験も自分事と捉えて考えること、うまくいった事案対応等も異なる状況に置き換えて考えることなど、間接経験をプラスすることも重要だと考えています。これらを繰り返し、自分の中で知識・技術としてシンプルに蓄積することで、臨機応変な行動・対応が可能になります。また、先を読むスキルにもつながります。現場での臨機応変な判断や的確な対応は、単純な経験年数ではなく、これらの積み重ねによるものだと思っています。急な呼出や不規則な勤務環境において、家族の負担となることがあるため、些細なことですが、予定や帰宅見込み時間などを伝えるよう努めました。職場でも、同僚の家族に対し業務体験の機会を設け、理解を深めていただき不安の解消を図りました。家族に一番身近な応援団となってもらうことで、隊員の離職防止にもつながると考えるようになりました。県竹富町浜島沖貨物船座礁海難事案です。猛烈な風で大しけの中、一九人を救助しました。風速二〇メートル、八メートルの波浪という台風のような悪天候で、大波にさらわれない構造物の影が一部しかない中、四回に分けて無事に吊上五つ目は、家族への仕事の影響を可能な限り少なくすることです。印象に残っている事案の一つは、沖縄― 印象に残っている事案等がありましたらお聞かせください。業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなこと― でしょうか。― 最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。▲沖縄県竹富町浜島沖貨物船座礁海難での救助の様子▲氷下潜水訓練を行う徳永氏(写真中央下)人事院月報 No.909国民の生活・安全を支えるプロフェッショナルを表彰 ~第37回人事院総裁賞~特集05

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