人員を確保することは難しいと思います。[益田]総合職試験の教養区分では、プレゼンテーション能力や企画力など、総合力が試されていて、弁の立つ学生は高い評価を受けやすい傾向があるように思います。他方で、そのような人材だけが求められているわけではなく、例えば、エコノミストとして育てていくため、経済学の素養がある人を採用したいというように専門分野の知識等を一定程度有している人材が求められる場合もあります。教養区分とそれ以外の専門区分との棲み分けが必要です。必要な人材を採用できるよう、多様な試験区分を維持しつつ、手続や試験方法の改善で工夫すべきではないでしょうか。[加藤]総合職試験採用者の直近の十年以内退職率は約二三%とのことですが、三年三割と言われる民間企業と比較すると、決して悪くありません。試験に多大なコストがかかるため、すぐに離職してはもったいないというサンクコストが発生しているのかもしれません。ただし、試験勉強という一種のハードルを乗り越えようとする人が一定数いることを前提に、現行制度は成立していますが、そのような人が大幅に減少げ止まり傾向にあるのは、これまでの採用試験改革の成果と言えるのではないでしょうか。一方で、常に長期的な視点を持ち、検討し続ける必要があります。[横田]公務員試験は準備に多大な労力を割く必要があり、近年の学生からは「コストパフォーマンスが悪い」と敬遠されているのではないでしょうか。公務員試験に一定の準備が必要という状況に変化はないと思いますが、この点について、人事院の方々はどう感じていますか。[上村]デジタル区分のようなものは別ですが、学生にとっては、試験対策で勉強する内容が採用後の業務に役に立つイメージが湧きにくいのかもしれません。実際には、憲法や行政法等の知識は公務員として必要と思いますし、様々なことに努力できるかどうかを見ることも重要です。その反面、いろいろな科目があるので、採用後の業務に関係が薄い、あるいはコスパが悪いと感じられてしまうところもあると思います。採用後に必要なスキルと結びついているとより感じられるようになれば、試験準備に対する抵抗感は今よりも少なくなるかも知れません。[大木]コスパの観点からは、エントリーシートを出すだけで応募できる形が究極的には良いですが、採用側のコストが非常に大きくなります。民間企業では、学歴でフィルターをかけて選抜することもあるかもしれませんが、公務では、公平性の観点からそうしたフィルタリングはできないでしょう。したがって、勉強する気が起きるよう、採用後の業務に直結する試験内容にすることが有意義です。[加藤]民間企業の採用市場の厳しさは深刻です。学生はエントリーシートの提出すら負担に感じ、説明会の動画も倍速で視聴するといったように、ますますコスパ重視になっていて、新たな負担を課すことは厳しいのが現実です。人口減少により志望者というパイ自体が小さくなることも考えると、現在の改善スピードでは公務で必要な2025 6月号 人事院月報10横田座長
元のページ ../index.html#12