人事院月報 2025年8月号 No.912
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れ、メンタルヘルスの不調が生じるという悪循環に陥ることになる。転勤について転勤は組織の健全性を保ち、人材を育てるという点で一定の合理性があるのは事実だが、本人だけでなく、家族、特に配偶者のキャリアに大きな影響を及ぼす。配偶者が転勤に同行するために退職や転居を余儀なくされるという現実は、所属していた職場や地域社会にとっても貴重な人材流出という形で影響を及ぼす。テレワークや勤務地限定制度など柔軟な働き方がある世の中だからこそ、転勤の必要性と社会が許容できる範囲については、バランスの取れた見直しが求められているのではないか。諸手当について要件を満たせば新幹線の特別料金も含めた通勤手当の支給が認められるなど、な仕事にどの程度の時間や人手がかかっているのかを把握・分析する必要がある。その結果を踏まえて無駄な仕事を思い切って削減、DXを進め、それができない場合には人員を増やすといった量的転換を進めることが必要である。カスハラは、民間でもSNSが普及してからは非常に多くなっており、録音システムを導入しているほか、社員一人では対応させず、複数人で対応させるようにしている。カスハラの問題について、クレーム対応は、知識やスキルを持っていればある程度は対応できる。クレームを受けると自分自身のことを否定されたように感じてしまうが、そうではないと客観的に見られるようになることが大切である。クレーム対応に困っている人がいた場合には、すぐに手を差し伸べられる体制作りも必要であり、悪質なクレームには毅然と対応することも重要である。ハラスメント関連の相談で、職場で感謝の言葉がなかったというものがあった。メンタル不調による休職の背景には、「感謝されなかった」、「存在を認めてもらえなかった」という声が驚くほど多く、従業員間の感謝の言葉が少ない職場ほど離職率が高いという調査結果もある。職場において人員が減少しているが業務量は変わらないという状況が続くと、心のゆとりが失われ、感謝やねぎらいの言葉が減り、コミュニケーションの希薄化やミスコミュニケーションが生ま○○○○○2025 8月号 人事院月報     適正な国家公務員給与の確保等ハラスメント対策について▲公務員問題懇話会の様子(盛岡市)12

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