人事院月報 2025年8月号 No.912
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まとめ・今後に向けて3 ① 加速する中、公務は何ができるのか考えること、また、変化を困難ではなく、チャンスでもあると捉え、建設的に取り組むことの重要性などが述べられました。② の分科会に分かれ、議論が行われました。す中、将来のより良い政府のための行政官の学びの必要性でした。学習すべきスキルとしては、デジタルスキル、信頼性を得るためのリーダーシップ、マネージメントスキルなどが挙げられました。また、適切な人材の採用や、事例の共有のためのネットワーク構築が重要とする意見が見られました。日本も優秀な人材を採用する重要性と施策を紹介しました。③ ジョンと方向性、公務は政策の発展と実施という異なるリーダーシップを有し、お互いを尊重した関係が重要との基調講演が行われました。また、元政治指導者からは、開会主催者側や議長などから、世界の変化がセッション1:行政官の養成機関の未来とは?複数の国が発表を行った後、一五名程度各国が強調したのは、変化と複雑性が増セッション2:政治と行政のトップの関係学術機関からの出席者より、政治はビダーシップなどが求められることが明らかになりました。公務の複雑さと信頼性の観点から、人材の採用・育成の重要性も強調されました。これらは多くの国に共通する課題でもあり、各国が一堂に会する場は、課題の認識と共有、解決策の話合いなどのメリットをもたらすことを実感しました。各国との議論と連携の促進② 各国との情報共有や連携を促進するため、活発な議論を誘発する工夫がされていました。例えば、発言希望者が中心の円状に配置された五名程度の椅子に交代に座り、自由に発言も退席もできる方法や、参加者が組織代表の立場を離れ、個人の経験を語る場などもありました。自由な雰囲気が醸成される中、休憩時間の交流も活発でした。EU諸国の参加者は、自分たちの正当性を強化するEUの会合と違い、OECDの会合は他地域の見解を知り、視野を広げる機会と述べていました。また、他国より、今後日本の公務の状況を学びたいとの希望も寄せられました。人事院は、各国やOECDと今後も連携し、人事行政における世界の課題の認識・発信を行うとともに、そこで得た知見を国内の環境整備にいかしていきます。政治と行政はお互いに対話し、バイアスを正すことが重要、政治の誤りを防ぐため、行政は責任感を持ち、専門家として助言すべきとの見解が表明されました。この行政の専門性は、今回のキーワードでした。欧州の政府機関に関わってきた高官などをパネリストとする会合でも、行政官は公共に仕えていることを認識し、企画・実施、政治への助言、データの把握・活用など、専門性を持つことの重要性が強調されました。また、ジェネラリスト育成重視への反省から専門家の育成が必要であること、法的・制度的権限(authority)を持つため、意思決定や業務の進め方が困難で複雑であること、他方、誤りは許されず、社会の信頼が求められること、だからこそ専門性が必要などの意見が繰り返し述べられました。そのほか、セッション3では環境維持と持続可能性への政府養成機関の対応が議論されました。各国の関心事項:行政官の専門性① 前述のとおり、各国からは行政官の専門性が強調され、政治への助言、データ活用力、国際感覚、倫理観、連携・対話力、リー人事院月報 No.912OECD 行政官養成機関ネットワーク主催「年次会合2025」への参加報告~激動の時代における行政官の専門性とその重要性~人事行政報告27

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