人事院月報 2025年8月号 No.912
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車はできないので、社会実験を通して、どう運営していくかを検討しています。法律上、国道で駐車する場合は、周りを囲う必要があるため、今は、チェーンゲートを付けることで要件を満たしています。今、この社会実験で課題となっていることは、チェーンの上げ下げのために、一度車道上で停車し、チェーンが下がったことを確認してから再度駐車しなければならないということです。一見簡単そうに見えるものですが、周囲を囲わないといけないという条件があるために、国道に車を駐車させることがけっこう難しいのです。そのため、区や警視庁と協議しながら、囲う方法について実証実験を通じて検証しています。一番初めに国道上でのカーシェアリングの実証実験を実施したのは東京国道でしたが、現在だと大阪や仙台でも、同じような社会実験に取り組んでいます。囲いに関するガイドラインは東京国道が基になっているため、事務所でも日本全体に関わるような基準は作れるのだなと感じました。今後は、カーシェア以外にも電動自転車などのシェアモビリティ関係も、同じ空間に設置し、道路空間を利活用していくこと[岡本]今は、予算に関する業務を主に担当しています。土木の工事は短い期間でできるものではなく、中には半世紀かかるようなものもあります。長い目で見て、私の仕事がどこかに還元できたらなと思います。過去に設計に関わった事業で工事が実際に進んでいるのを目の当たりにすると心が浮き立ちます。――鹿間さんは今どのような仕事をされているのですか。[鹿間]私は交通対策課に所属しており、主にバリアフリー化や、国道上におけるカーシェアリングの社会実験に取り組んでいます。子が通れない、エレベーターを設置してほしい等といった、地域の方からの要望に対して警視庁などの関係者の方々と協議し、対策を検討することが、私たちの主な仕事です。この仕事をするようになって知ったことですが、点字ブロックの配置の仕方などには細かい基準があります。それを知って道路に出てみると、これまで気付いていなかったことが見えるようになりました。バリアフリーの仕事で難しいことは、協議する相手が多く、自分たちがやらないといけないことなのか、そうではないのか、選別が必要なことです。そのため、協議先を訪れることも多く、事務所外で仕事する機会もあります。また、出張所の業務もあるため、パトロールの車に乗ったり、修繕の要望を頂いた現場に行くといったことにも今後取り組む予定です。カーシェアについては、新橋と大手町で道路空間を活用したカーシェアリングの社会実験を行っています。それぞれの駅の近辺で、国道の歩道を一部削り、そこにカーシェアリングステーションを作っています。通常、駐車はどこかの敷地や駐車スペースがあって、そこに乗り入れてから車を停めます。国道上では、停車はできても、駐バリアフリー化では、歩道が狭くて車椅珍しい国道について聞いてみると、国道58号(鹿児島が起点で終点は沖縄)の日本最長の海上国道について教えてくれました。海の上に“道”があったとは、筆者は初めて知りました。042025 8月号 人事院月報

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