人事院月報 2026年6月号 No.922
9/40

三四人事院月報 No.922職場の不安全行動について~不安全行動の発生プロセスと防止への取組~寄稿  一回など、定期的に自分たちの普段の作業を振り返り、業務に潜む危険性を共有する場を設ければ、リスクの知覚に有効です。もう一歩進んだ対策は、やりづらい作業手順や作業シートの改善です。使いにくさや、やりづらさといった不快な作業は、それだけでミスを誘発しがちです。自分も含め、次に同じ作業を行う人が不安全な作業を行わずに済むよう、やりづらい作業や業務は改善しておくのが良いでしょう。リスクを正しく評価させるリスクの専門的な定義は「事故の発生可能性」と「損失や被害の大きさ」を乗じた値です。しかし、事故の発生可能性や損失の大きさを正しく評価するのは難しいものです。発生可能性を正しく評価するなら、過去にどの程度の割合(確率)で事故が発生したというデータが必要ですし、損失の大きさを評価するなら、実際に同種の(あるいは類似の)損失が発生した事案がないと、損失の程度はわかりません。つまり、日頃の作業や事務業務に潜むリスクを正しく評価させるのは容易ではありません。しかし損失や被害が発生した事案(いわゆる事故・トラブル事例)が少しでもあれ事故・災害の発生可能性と、それによる損失の大きさです。自分が行う行為にリスクがあると認識できなければ、知らないうちに不安全行動をとってしまうケースがあります。るとわかった場合に、そのリスクの程度を評価する段階です。ネフィットが大きい(リスクを冒してでも得る利益が大きい)、②リスクの回避に多大なロスが伴う(安全な行動をとるのに手間がかかる)といった場合は、不安全行動(リスク・テイキング)をとる決定がなされます。これとは反対に、①リスクを冒しても得られるベネフィットが少なかったり、②リスク回避行動をとってもロスが少なければ、安全行動をとりやすくなります。動を防止する手立ても考えやすくなります。次項から防止策を考えていきましょう。み重ねにより、既に多重の安全防護(安全対策)が施されています。しかし皮肉なことに、安全な環境で暮らしていると、危険に対第一に、リスクの知覚です。リスクとは、第二に、リスクの評価です。リスクがあ第三に、意思決定です。①リスクよりベこのようにプロセスを知ると、不安全行リスクを知覚させる私たちの職場は、これまでの安全対策の積する感受性(危険感受性)が低下します。自分が働いている職場における危険な場所や、職務に潜む危険を知っているでしょうか。最近は、居住地の水害リスクを視覚化したハザードマップが各自治体から提供されていますが、これもリスクを知覚させる有効な手立てです。ハザードマップと同様に、職場で危険だと思った場所(例:出会い頭にぶつかりそうな角や、足を滑らせそうなスロープなど)をマップ化して掲示している工場もあります。また、営業や点検業務で巡回する周辺地域で、交通災害が発生しそうな場所を地図に記し、これを掲示して職員に注意喚起をしている事業所もあります。もう一歩進んだ対策として、このようなマップに定量的なリスク評価を盛り込んだ取組もあります。マップを見た人が、自分も危険だと感じた場所があれば、マップに小さなシールを貼ります。そうすると、同じように危険と感じる人が多い場所とそうでない場所がわかります。多くの人に危険と感じられている場所がわかれば、そこから優先的に対策を打つことができます。リスクは物理的な場所だけでなく、日頃の作業にも潜みます。ミスをしそうな作業手順や作業シートはないでしょうか。月に07

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る