2024年度版技術系ガイド

外務省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

  外務省の任務は国際社会の一員として求められる責任を果たしつつ、日本の安全と繁栄を確保し、国民の生命と財産を守ること。激動する世界情勢のなか、世界各国で外交活動の拠点となるのが大使館や総領事館、政府代表部などの在外公館です。相手国にとって「日本の顔」とも言える在外公館施設の建築企画から竣工後のメンテナンスまで、建設プロジェクトの全てを担うプロデューサーとして、また、本省と在外公館との間でやりとりされる外交情報を24時間365日、安心、安全、確実に送受できるよう、より強固な情報通信システムの開発・管理を行い、巧妙化するサイバー攻撃から情報を守る専門家として、技術系職員は我が国外交基盤の一端を担っています。

 
 

 外交通信の中核を担っている大臣官房情報通信課

 いまや情報通信システムは外交活動に欠かせないツールです。我が国の外交情報は常に様々なサイバー攻撃の脅威にさらされており、情報通信技官は、機微な外交情報が外部に漏れることが無いよう、各在外公館との連携を始め、最新の技術を基に外交情報通信システムの強化を目的として日夜研究を行っています。
 


 サーバーで外交情報通信システムのメンテナンス
 


 在ザンビア日本国大使館でインマルサット衛星通信機器設置

 在外公館事務所移転プロジェクトがあると、技術系職員は現地に出張し、通信事業者とともに旧事務所から新事務所へ外交情報通信システムの移設を行い、移設後に正常な通信ができるよう動作の確認を行います。また、移設作業の間も外務省本省との通信が途切れないよう、複数のバックアップ回線を準備しておく必要もあります。
 


 日本政府専用機搭乗のための事前訓練

 我が国要人が外国を訪問する際、日本国政府専用機を使用しますが、実はこの機内にも外務省の通信機器が設置されていることをご存じでしょうか。情報通信技官は、事前の訓練を経た上で日本国政府専用機に搭乗し、移動中も国内外関係各所との連絡がとれるよう、通信機器の運用管理を行っています。
 


 日本で最も古い外交公電

 外交通信の歴史は古く、「日本外交文書」に採録されている最も古い外交公電は明治5年4月9日三条太政大臣からワシントンの森少使宛に送られたものが残されています。外交公電にはその内容を秘匿にするため暗号化がなされており、セキュリティ対策の観点からも時代のニーズに合わせたシステム開発が進められています。
 


 営繕技官が世界各国で建てた在外公館施設(大使館等)

 営繕技官は、世界中にある日本の在外公館施設(大使館・総領事館の事務所・公邸など)の新築や建替、大規模増改築、既存施設の保全・維持管理指導といった一連業務を行います。在外公館施設は相手国政府にとって「日本の顔」であり、営繕技官は、いわば日本外交の舞台を作る仕事をしています。
 


 現在、進捗中の大使館事務所増改築工事現場の様子。工事の品質の確保も重要な任務の一つです。

 営繕技官は、海外勤務時には大使館等施設の建設プロジェクト等の監督職員という立場となります。施工図面の確認、プロジェクト進捗の管理や各種検査の立ち会い、資機材の選定など、建設現場での仕事は多岐にわたります。海外での工事では、施工方法や使用材料等、日本国内と比べて異なる点が多く、国による技術的な違いも理解しながら難易度の高い工事を進めていく必要があります。
 


 令和3年竣工の在ペルー日本国大使館事務所外観

 営繕技官が携わった建設プロジェクトにより完成した大使館事務所。世界各国において大使館は日本外交の最前線であり、任国の政治・経済に関する交渉や情報収集、広報文化活動や領事事務など、様々な外交活動を行っています。
 


 在サウジアラビア日本国大使公邸(設計:(株)丹下健三・都市・建築設計研究所)

 営繕技官が建設に携わった大使公邸。公邸は、外交の舞台として相手国政府関係者等を招いた会食やレセプションが行われますが、公館長の住居も兼ねているので、居住機能も有した施設です。
 


 在ギリシャ日本国大使館事務所施設。現地へ赴任して建設工事を管理します。
 
    

 

職員紹介

 
渡邉 浩彰

外務省大臣官房在外公館課・営繕管理官室主査

Ⅱ種(電気・電子)
 
2010年 外務省大臣官房在外公館課営繕管理官室
2012年 在英国日本国大使館(語学研修)
2013年 在パプアニューギニア日本国大使館
2018年 国際連合日本政府代表部(米国・ニューヨーク)
2020年 外務省大臣官房在外公館課警備対策室
2021年 現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。

グローバルに仕事をしたい方にはとてもおすすめです!

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 外務省に技術系の仕事があることを知り、興味を持ったことがきっかけです。世界中の自分が知らない国での生活に対する期待や楽しみがありますし、また国家公務員は、安定した職業であることも魅力だと思います。
 
◇ 記憶に残っている業務
 在パプアニューギニア日本国大使館施設の新築プロジェクトを担当しました。大使館の利用者にとってより使いやすい建物とするため図面をチェック・調整したり、工事現場でプロジェクトの進捗状況を確認し、本省へ報告したり、パプアニューギニア政府関係当局や税関、電力・水道公社との調整等、様々な業務に従事しました。初めての建設プロジェクトで、また途上国の勤務であったことから当初は不安もありましたが、工事完了の際には非常に達成感があり、大変良い経験となりました。
 
◇ 日々の仕事
 最近では、在カラチ日本国総領事公邸の新築設計業務を主として担当しています。日本らしさを感じられる公邸を目指し、予算制限のある中で民間設計業者と共に検討し、公邸への来客者に対して最大限のおもてなしができる場とするとともに、使用者にとっての良好な活動・居住環境を提供できるような設計を常に考えています。現在は、大使館等の在外公館施設の営繕業務体制強化に向けたプロジェクトを担当しており、その必要性を理解してもらうため、対外説明、資料作成などの業務に日々奮闘しています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 世界中の様々な価値観の異なる環境で育った方々とコミュニケーションを取りながら仕事をすることが、本当に面白いと思います。当然、理解し合えないことも多いのですが、そのようなコミュニケーションの難しさがある中でも根気強く話し合いを続け、徐々に相手を理解し、自分も理解されていく過程も楽しいと思いますし、世界を股にかけて働くことにやり甲斐を感じます。
 
◇ テレワークの経験
 テレワークは、業務の状況を見ながら、基本的に毎週金曜日に実施するようにしています。テレワークでは一人で執務に集中できますので、落ち着いて業務が進められるのが利点だと思います。テレワークで実施しやすい業務を調整の上まとめて行うように工夫しています。テレワーク中は専用アプリを使い、ウェブ電話やテキストで上司や同僚へ連絡し相談しています。
  
◇ ある1日のスケジュール
09:30 登庁  在外公館からの電報やメールを確認し、部下と業務
09:30 打ち合わせ。
10:30 設計業者との打合せ(終了後、業者からの質問や未確定事

10:30 項等について、内部協議等対応)
12:30 昼食(同僚とランチ後、近くの公園を散歩し季節の変化を

12:30 感じながらリラックス)
13:30 課内打ち合わせ。総領事館の移転計画について施設関連の

13:30 協議を行う。
14:30 大使館からの照会に対応。技術的事項や営繕業務にかかる

14:30 手続についてアドバイスする。
16:00 設計業務の進捗状況について上司へ報告。設計業者への指

16:00 示書等資料作成。
18:15 退庁
18:30 夕食(同僚や友人と外食)
20:00 トレーニングジムで軽く汗を流す。
21:00 帰宅

 



 
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