2024年度版技術系ガイド 

警察庁
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

  警察庁には、国民の「安全・安心」のために、技術系職員がその能力を存分に発揮できるフィールドがあります!本庁では総合職(行政職)、一般職(情報通信/DNAセンター)職員が、附属機関である科学警察研究所では総合職(研究職)職員が活躍しています。総合職(行政職)職員は、理系としての素養を活かし、生活安全、刑事、交通、警備、サイバー警察といったあらゆる部門で政策の企画立案を担い、一般職職員は、技術のプロフェッショナルとして、警察独自の情報通信ネットワークの構築、犯罪捜査における技術的支援等を担っています。総合職(研究職)職員は、それぞれの専門に応じて、科学捜査についての研究・実験等を担っています。

 
 

 ランサムウェアの脅威への対処に関する連携の強化のための国際会議(ランサムウェアに関するG7高級実務者会合)への参加
 


 ヘルメットに対するクロスボウの射撃状況(衝撃でわずかに矢がたわんでいる様子が見られる)


 プレートに対するクロスボウの射撃状況


 プレートに対するクロスボウの射撃状況(①と比較すると振動で矢羽根の変形している様子が見られる)

殺傷等事件をきっかけとしたクロスボウの所持等を許可制とする銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)改正作業に関連し、科学警察研究所では射撃状況の高速度撮影や威力評価を行いました。一発勝負となる高速度撮影では、研究業務や鑑定業務での経験に基づいて撮影条件を決定し、撮影された画像は広報を始めとした各所で活用されました。法改正に関わることは少ないのですが、威力評価を含めて想像以上に研究・鑑定といった日々の業務の経験が生きた事例です。
 


 約400m/s(マッハ数1.17)で飛翔する弾丸の発光強度画像


 発光強度画像から変換して得られた飛翔中の弾丸表面温度分布

航空宇宙分野で研究されている画像計測法の「感温塗料(TSP)計測」について、飛翔中の弾丸を用いた評価検証を行いました。計測対象である弾丸表面に定着させた色素からの発光強度分布を高速度撮影で取得することが不可欠なところ、計測に十分な発光情報の取得に苦労しましたが、実験条件の見直しを繰り返すことでTSPによる温度分布取得に成功しました。その後、都道府県警の科学捜査研究所から「この計測結果が活用できた」という連絡をもらい、警察活動への貢献が実感できました。
 


 行動科学の視点から、未解決事件に関して、同一犯による事件の推定や、犯人特徴及び居住地等を推定する犯罪者プロファイリングの研究を行っています。

行動科学の視点から、犯罪の捜査を支援するための研究を行っています。犯罪者プロファイリングについては、未解決事件に関して、同一犯による事件の推定や、犯人特徴及び居住地等を推定する方法の研究を行っています。取調べや事情聴取については、取調官、成人被害者、取調べを経験した受刑者を対象とした質問紙調査、一般人を対象とした模擬取調べ実験といったアプローチにより、我が国の警察における面接技術について実証的に検討しています。
 


 警察では、被疑者DNA型記録等をデータベースに登録し、未解決事件をはじめ様々な事件の捜査に活用しています。

警察では、被疑者から採取した資料から作成した被疑者DNA型記録及び犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる資料から作成した遺留DNA型記録をデータベースに登録し、未解決事件の捜査をはじめとする様々な事件の捜査において、犯人の割り出しや余罪の確認等に活用しています。警察庁刑事局犯罪鑑識官では、全国の警察署から嘱託を受け、被疑者から採取した資料のDNA型鑑定を行っています。
 




 警察の「神経系統」である情報通信システムを整備し、いかなる状況でも正常に機能するよう日々維持管理を行っています。

警察活動においては、あらゆる事件、災害等に迅速かつ的確に対応するため、指揮、報告、連絡等に用いる強靱な情報伝達手段が不可欠であり、無線機等の通信機器や無線中継所等の通信施設は「警察の神経系統」として大きな役割を果たしています。これらが常に万全の機能を発揮できるように、平素から点検、調整、監視といった維持管理業務に当たるとともに、災害等の発生時には通信機器を駆使して現場の警察官をサポートしています。
 





 電子機器からの情報抽出・可視化、不正プログラムの解析等を行い、犯罪捜査を技術面からサポートしています。

多様化・高度化するサイバー犯罪・サイバー攻撃等の事件捜査や防犯対策において、都道府県警察を技術的に支援する役割を担っており、電子機器からの情報の抽出・可視化、不正プログラムの解析、発電所等の重要インフラ事業者に対するセキュリティ対策に必要な技術情報の提供等を行っています。
 
    

 

職員紹介

 
諏訪 博之

警察庁サイバー警察局参事官(サイバー情報担当)付課長補佐

総合職(数理科学・物理・地球科学)
 
2013年 警察庁採用
2014年 警察庁情報通信局情報通信企画課係長
2015年 警察庁長官官房総務課係長
2017年 警察庁情報通信局情報管理課係長
2019年 警察庁情報通信局情報通信企画課係長
2020年 警察庁情報通信局情報通信企画課先端技術導入企画室課長補佐
2021年 警視庁公安部サイバー攻撃対策センター副所長
2023年 現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。


見えない敵との対峙

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 友人に国家公務員試験を一緒に受けないかと誘われたことがきっかけです。その後、国のために働くというシンプルなやりがいと、行政官として様々な業務に携わることに魅力を感じ、国家公務員になりました。
 
◇ 記憶に残っている業務
 人工知能(AI)を活用した警察業務の高度化・効率化の実現を目指した実証実験プロジェクトに携わったこと。ニーズ/シーズの調査からプロジェクトテーマの選定、様々なIT関連事業者との意見交換、予算要求、そしてプロジェクトの実行、実用化に向けた検討などを一気通貫で担当し、大変ながらも非常に勉強になる業務でした。特に限られたリソースの中、いかに「実用化」に重点を置いて取組を進めるかが、大学等の研究との大きな違いでした。
 
◇ 日々の仕事
 現在は、警察庁でサイバー攻撃対策業務を担当。本年はG7広島サミットが開催。警察としては、物理的警備はもちろん、サイバー攻撃対策も重要な課題。開催地となる広島県警察をはじめ、全国警察の担当者と共に、関係事業者と連携し、安全・円滑なサミットの開催に向けて日々対策を行っています。  サイバー攻撃対策は、見えない敵との対峙。でも、その脅威はとてもリアルに感じています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 警察庁の仕事のやりがいは様々あると思いますが、個人的に強く感じていることは、全国警察のために働くこと。警察には約30万人の職員がいますが、やはり主役は第一線で日々従事している人たち。彼らの活躍がまさに日本の安全と安心を支えているわけです。そういった現場の業務をより良いものにと考えたときに、やはり警察庁じゃないと変えられないような課題もあるわけです。そういった仕事は、私にとって非常にやりがいを感じます。
 
◇ テレワークの経験
 少し話はそれますが、警察庁ではじめてテレワークシステムを導入するときにIT担当として業務に携わりました。私は、主に人事担当部署との検討・調整や利便性とセキュリティの両立のためのシステム要件の検討などを担当しました。今でこそテレワークは当たり前になりましたが、当時は、警察庁でテレワークを始めることが一大トピックでした。 ちなみに私個人の話をすれば、子供時代は家では宿題ができないタイプでした(ということは・・・)。
  
◇ ある1日のスケジュール
09:30 登庁
10:00 G7サミット対策に関する庁内検討
11:00 県警からの各種対策に関する報告の確認・指導
12:00 昼食
13:00 サイバー攻撃対処訓練に関する事業者との打合せ
15:00 国会対応(質問レク・答弁案作成)
18:00 G7サミット対策に関する実査準備
20:00 退庁
21:00 趣味と実用を兼ねて料理

 



 
他府省の記事も見てみる 
 
 
 
Back to top