2024年度版技術系ガイド 

農林水産省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

  日本の食料・農林水産業は、生産者の減少等の生産基盤の脆弱化、気候変動や自然災害の頻発化、生産・消費の変化など、様々な課題に直面しています。将来にわたって食料の安定供給を図り、生産力向上と持続性の両立を実現するには、イノベーションの創出といった科学的な手法が欠かせません。例えば、収量増加や品質向上に帰するバイオテクノロジーや、省力化を可能にするスマート技術の開発・実装が急務となっており、農林水産省では多様なバッググラウンドを持つ技術系職員が、自身の専門的な知識・能力を生かしながら、現場の課題を踏まえた政策の企画・立案・実行など広い範囲で活躍しています。

 
 

 食文化の継承・振興


 ドローンによる農薬散布

 次の世代に対し、日本の豊かな食や美しく活力ある地域を継承していくため、農産物の生産振興、農業の担い手育成、農産物・食品の輸出促進、伝統的な食文化の継承など、「食」「農」に関するあらゆるフィールドの課題に全力で取り組んでいます。
 また、ロボット技術、AI・IoTといった先端技術の導入を進めることで、農作業の効率化を図るとともに、農薬・化学肥料の使用量削減など環境への負荷を軽減し、持続可能な農業の実現を目指しています。
 


 基盤整備により大区画化された水田


 適切な更新・長寿命化が必要な農業水利施設


 農業競争力を強化するため、自動走行農機の導入などスマート農業の推進に寄与する農地の大区画化やICT水管理システムによる水利用の高度化といった基盤整備を推進しています。
 また、頻発化・激甚化する災害に対応するため、農業水利施設の適切な更新・長寿命化、省エネ化・再エネ利用、ため池の防災・減災対策や農業用ダムの洪水調節機能強化、「田んぼダム」の取組推進等による農村地域の防災・減災対策に取り組んでいます。
 


 木材をふんだんに利用した大規模建築物


 高性能林業機械による森林整備

  森林環境教育の場として国有林野の利用を進めるため、森林環境教育のプログラムの整備やフィールドの提供等に取り組んでいます。
  国有林野事業は、国内最大の森林所有者として、林業事業体への事業の発注を通じ、その経営能力の向上等を促しています。
  適切な森林の経営管理による人工林資源の循環利用のためには、国産材の安定供給と需要拡大が重要であり、建築物での国産材利用率の向上や、「木育」等の普及啓発等に取り組んでいます。
 


 漁港での水揚げ風景


 安定供給のためのウナギ人工種苗の生産技術開発

 豊かな水産物を次の世代へ。近年海洋環境が変化するなか、水産業の成長産業化や水産物の安定供給を図るため、資源管理の着実な実施や、漁船漁業の構造改革などに取り組んでいます。また養殖業の重要魚種であるウナギは生態が謎に包まれ、資源の減少も懸念されています。将来にわたる安定供給のため、人工種苗の大量生産に向けた技術開発を行っています。加えて、水産物の付加価値向上や海業などを通じ、漁村の活性化を推進しています。
 


 水産業の拠点となる漁港の整備


 水産資源を守る・増やす漁場の整備

 漁港と漁場は、水産業の健全な発展と国民への水産物の安定供給を図るための基盤であり、重要な役割を担っています。水産庁では、漁業を支える防波堤や岸壁といった漁港施設の整備や、豊かな生態系を育む場である藻場・干潟の保全・創造の取組を行っています。
 また、豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を活かした「海業(うみぎょう)」等の取組を推進し、漁村の振興を図っています。
 
    

 

職員紹介

 
岡田 真希

農林水産省消費・安全局農産安全管理課調査係長

総合職(農業科学・水産)
 
2019年 農林水産省農村振興局農地資源課
2021年 農林水産省農産局技術普及課
2023年 現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。

日本の「食」をあらゆる面から支えています

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 就職活動の際、「食」に関連した仕事がしたいという希望は持っていましたが、具体的な分野や職種が定まっていませんでした。そんな中、農林水産省においては、「食」に関わる生産、流通、加工、販売などあらゆる面で社会に貢献することができる点に魅力を感じ、国家公務員試験を受けることを決意しました。
 
◇ 記憶に残っている業務
 令和3年秋以降、ロシアによるウクライナ侵略などの影響で、海外からの肥料原料の調達が不安定化しました。この状況に対応するため、主要な肥料原料の調達先国であるカナダへ出張し、連邦政府や州政府、民間企業に直接働きかけを行いました。出張後、肥料の調達を行っている商社等から、国際情勢が不安定な中でも順調に調達が行われている旨の報告を受けた時には、自身の仕事が肥料の安定供給という面で日本農業に貢献できていることを実感し、大きなやりがいを感じました。
 
◇ 日々の仕事
 現職では、肥料に使用できる原料や肥料が含有すべき成分等を定める基準の設定や見直しに関する業務を行っています。肥料の効果や使用方法、農作物や環境への影響に関する知識を深める必要があるほか、生産現場の実態を把握することが求められるため、肥料関係事業者との意見交換を通じて、ニーズや問題点を把握し、基準の見直しや適切な対応策の検討に役立てています。また、肥料工場などの生産現 場を訪問することで、実際の製造プロセスや品質管 理の仕組みに関する知識を深め、生産現場における 課題を把握するよう努めています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 農林水産省においてこれまで経験してきた業務は、農業生産に必要不可欠な肥料や農薬などの生産資材の安定供給や農作物の安全性の確保、農村の活性化など、どれも国民への食料の安定供給に寄与するものであり、大きなやりがいを感じています。  また、スーパーでの農産物の販売価格や農産物の品質向上など、日常生活の中で自身の仕事の成果や影響を実感できることも農林水産省の業務の魅力の一つだと思います。
 
◇ ある1日のスケジュール
09:30 登庁 新聞やweb報道をチェック
10:00 関係省庁との打合せ、終了後概要メモ作成  

12:00 昼食(同期とランチ)  

13:00 事業者への説明資料作成
15:00 省内関係部署と意見交換
19:30 退庁
20:00 夕食(自宅・職場周辺の飲食店開拓)

 



 
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