2024年度版技術系ガイド 

総務省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

  総務省は、我が国の成長分野のひとつである情報通信分野を所管し、通信・放送業界の監督のほか、サイバーセキュリティの確保や先端的な研究開発、ICTの利活用の推進などを行う「情報通信行政」を担っています。情報通信行政では、最先端の技術を踏まえた政策を企画立案していくことが求められ、理系のバックグラウンドが活きる行政分野です。  情報通信分野は技術の進歩が速いため、新しい技術の発展を妨げないように取り組む一方で、利用者の保護や既存のシステムへの影響に配慮した対応が求められており、技術系職員が幅広く活躍している分野です。

 
 

 世界無線通信会議(WRC)開催中の様子

 世界無線通信会議(WRC) は、国連の専門機関である国際電気通信連合がおよそ4 年に1 度開催している会合であり、電波利用の国際的なルール等について各国代表が集まり様々な議論が行われています。
 総務省では、2023 年に開催予定のWRC-23 で有意義な議論ができるよう、日本の考え方をまとめるなど準備を進めています。
 


 Beyond 5Gの特徴

 「Beyond 5G」(いわゆる 6G)は、2030 年頃の導入が見込まれる5G の次の世代の通信規格であり、現実世界とサイバー空間の⼀体化を進展させ、我々の生活や経済活動を支える通信インフラのコアとして期待されています。
 2022年6月30日に、研究開発、知財・国際標準化、社会実装、海外展開に関して強力に推進していく方針等が盛り込まれた「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」について情報通信審議会から中間答申を受けました。総務省では、本中間答申を受けて、今後の情報通信行政の推進に資する予定です。
 


 2025年度末までの周波数の帯域確保目標

 2025年度末までの当面の目標として、特に帯域を必要とする5G・Beyond5Gなど携帯電話網システム、衛星通信・HAPS システム、IoT・無線LANシステム、次世代モビリティシステムの4つの電波システムについて、2020年度末を起点として、全体として+約16GHz幅の帯域確保を目指しています。2023年5月現在の進捗状況としては、全体として+3.04GHz幅の帯域を確保しています。
 


 ITU-T

 国際電気通信連合(ITU)のうち、電気通信標準化部門(ITU-T)では、4年に1度、世界電気通信標準化総会(WTSA) が開催され、ICT分野の国際標準化や政策的な課題についての検討を行っています。
 次回のWTSAは2024 年の開催が予定されており、総務省ではITU事務局との連携を強化しながら、 ITU-Tの活動を日本が牽引できるよう議論の準備を進めています。
 


 情報通信ネットワークのクラウドネイティブ化に対応した制度改正

 情報通信分野における技術の進展により、情報通信ネットワークへの仮想化技術の導入やクラウド・サービスの利用が進んでいます。これを踏まえ、情報通信審議会情報通信技術分科会IPネットワーク設備委員会では、技術の活用に関する現状の調査や、今後必要とされる対応についての検討を行っています。
総務省は、通信サービスの確実かつ安定的な提供を確保できるよう、時代に即した制度整備に取り組んでいます。
 


 サイバーセキュリティ人材育成

 近年巧妙化・複雑化するサイバー攻撃により、政府機関、民間企業等において情報漏えい等の被害が頻発しており、サイバー攻撃に対処可能な態勢を強化することは急務となっています。総務省では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に組織したナショナルサイバートレーニングセンターにおいて、実践的な対処能力を持つセキュリティ人材を育成することで、我が国のサイバー攻撃への対処能力を強化し、国民が安心して安全に利用できるネットワーク環境の実現に貢献しています。
 


 無線LAN
 
 無線LANは家庭や職場、街中の飲食店、駅、空港などといった様々な場所で利用されており、社会インフラのひとつとして国民の生活に欠かせないものとなっています。
 総務省では、無線LANの高度化や利用の拡大に対応するため、より良い電波の利用環境の構築に取り組んでいます。
 最近では令和4年にWi-Fi6Eの制度化を行い、新たに6GHz帯の周波数帯が利用可能となりました。
 


 HAPS
 
 HAPSとは、地上20km前後の高度を飛行する飛行体に移動通信システムの基地局等を搭載したもので、この一局で超広域(直径100km以上)をカバーでき、災害に強いネットワークの構築に資すると期待されています。
 総務省は、このHAPSが世界的に利用可能な周波数帯を追加するため、2023年開催予定の世界無線通信会議での検討に向けて準備を進めています。
 
    

 

職員紹介

 
田中 友

総務省総合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課衛星事業係長

II種(機械)
 
2006年 総務省情報通信政策局宇宙通信政策課
2008年 総務省総合通信基盤局電波部電波環境課
2010年 総務省総合通信基盤局電波部衛星移動通信課
2012年 総務省総合通信基盤局電波部電波環境課
2015年 総務省情報通信国際戦略局技術政策課研究推進室
2017年 総務省情報通信国際戦略局宇宙通信政策課
2018年 総務省総合通信基盤局電波部移動通信課
2019年 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊

2019年 急事態対処担当)付
2022年 現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。

無線通信事業を制度面からサポート

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 大学の博士課程に進み、家と大学を往復し自分の研究を進める毎日の中で社会から隔離されているような感覚を覚えました。そのため、多くの人と関わり社会の一員として貢献している実感が得られる仕事がしたいと思い、国家公務員になりました。
 
◇ 記憶に残っている業務
 無線機の認証制度に関する業務を2回担当しました。 最初に担当したときは右も左も判らない状態でしたが、先輩方に教えを請いつつ制度の把握を進める中で法令の読み解き方にも慣れ、当時課題となっていた認証マークの表示に関する制度改正を実施しました。初めて担当した制度改正案件であり、この時の経験が今でも活かされています。 2回目は、認証制度の二国間協定を担当しました。日本の認証制度を外国の政府・事業者に説明するため国際会議で発表を行うなど、良い経験が出来ました。
 
◇ 日々の仕事
 現在所属している基幹・衛星移動通信課では、航空・海上・衛星関連の無線局免許に関する事項を所掌しており、私は電気通信事業に関する衛星通信の無線局免許事務を担当しています。 具体的には、電気通信事業者からの衛星通信事業への参入相談、免許手続きに関する相談、無線局への周波数割当てに係る省内調整、免許基準関連規定の整備等に従事しています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 電気通信事業者等からの相談に対して、彼らが実施したいことは何か、それは既存の制度に照らして実施可能なものか否か、否だとすれば何が問題になるのか、国益等に照らしてその問題を解消する制度改正が必要か否かといったことを考える場面があります。 私の考えが、電気通信事業者の事業実施の可否や無線局免許の審査のあり方に大きな影響を与える点に責任とやり甲斐を感じています。
 



 
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