2025年度版技術系ガイド

外務省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 外務省の任務は国際社会の一員として求められる責任を果たしつつ、日本の安全と繁栄を確保し、国民の生命と財産を守ること。激動する世界情勢のなか、世界各国で外交活動の拠点となるのが大使館や総領事館、政府代表部などの在外公館です。相手国にとって「日本の顔」とも言える在外公館施設の建築企画から竣工後のメンテナンスまで、建設プロジェクトの全てを担うプロデューサーとして、また、本省と在外公館との間でやりとりされる外交情報を24時間365日、安心、安全、確実に送受できるよう、より強固な情報通信システムの開発・管理を行い、巧妙化するサイバー攻撃から情報を守る専門家として、技術系職員は我が国外交基盤の一端を担っています。

 
 

 営繕技官が世界各国で建てた在外公館施設(大使館等)

 営繕技官は、世界中にある日本の在外公館施設(大使館・総領事館の事務所・公邸など)の新築や建替、大規模増改築、既存施設の保全・維持管理指導といった一連業務を行います。在外公館施設は相手国政府にとって「日本の顔」であり、営繕技官は、いわば日本外交の舞台を作る仕事をしています。
 


 現在、進捗中の大使館事務所増改築工事現場の様子。工事の品質の確保も重要な任務の一つです。

 営繕技官は、海外勤務時には大使館等施設の建設プロジェクト等の監督職員という立場となります。施工図面の確認、プロジェクト進捗の管理や各種検査の立ち会い、資機材の選定など、建設現場での仕事は多岐にわたります。海外での工事では、施工方法や使用材料等、日本国内と比べて異なる点が多く、国による技術的な違いも理解しながら難易度の高い工事を進めていく必要があります。
 


 令和3年竣工の在ペルー日本国大使館事務所外観

 営繕技官が携わった建設プロジェクトにより完成した大使館事務所。世界各国において大使館は日本外交の最前線であり、任国の政治・経済に関する交渉や情報収集、広報文化活動や領事事務など、様々な外交活動を行っています。
 


 在サウジアラビア日本国大使公邸(設計:(株)丹下健三・都市・建築設計研究所)

 営繕技官が建設に携わった大使公邸。公邸は、外交の舞台として相手国政府関係者等を招いた会食やレセプションが行われますが、公館長の住居も兼ねているので、居住機能も有した施設です。
 


 在ギリシャ日本国大使館事務所施設。現地へ赴任して建設工事を管理します。
 


 外交通信の中核を担っている大臣官房情報通信課

 いまや情報通信システムは外交活動に欠かせないツールです。我が国の外交情報は常に様々なサイバー攻撃の脅威にさらされており、情報通信技官は、機微な外交情報が外部に漏れることが無いよう、各在外公館との連携を始め、最新の技術を基に外交情報通信システムの強化を目的として日夜研究を行っています。
 


 サーバーで外交情報通信システムのメンテナンス
 


 在ザンビア日本国大使館でインマルサット衛星通信機器設置

 在外公館事務所移転プロジェクトがあると、技術系職員は現地に出張し、通信事業者とともに旧事務所から新事務所へ外交情報通信システムの移設を行い、移設後に正常な通信ができるよう動作の確認を行います。また、移設作業の間も外務省本省との通信が途切れないよう、複数のバックアップ回線を準備しておく必要もあります。
 


 日本政府専用機搭乗のための事前訓練

 我が国要人が外国を訪問する際、日本国政府専用機を使用しますが、実はこの機内にも外務省の通信機器が設置されていることをご存じでしょうか。情報通信技官は、事前の訓練を経た上で日本国政府専用機に搭乗し、移動中も国内外関係各所との連絡がとれるよう、通信機器の運用管理を行っています。
 


 日本で最も古い外交公電

 外交通信の歴史は古く、「日本外交文書」に採録されている最も古い外交公電は明治5年4月9日三条太政大臣からワシントンの森少使宛に送られたものが残されています。外交公電にはその内容を秘匿にするため暗号化がなされており、セキュリティ対策の観点からも時代のニーズに合わせたシステム開発が進められています。
 
    

 

職員紹介

 
後藤 怜



 
外務省大臣官房情報通信課デジタル化推進室

大卒一般職技術区分(電気・電子・情報)
 
2014年  外務省採用 大臣官房 情報通信課 係員
2016年  在米国日本国大使館 三等理事官
2017年  在サウジアラビア日本国大使館 三等書記官
2021年  外務省 大臣官房 情報通信課 係員
2022年  デジタル庁 国際戦略 主査
2024年  外務省 大臣官房 情報通信課 主査

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。

技術を生かし、世界の現場で活躍してみませんか?

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 大学3年次に海外研修する機会に恵まれ、将来は海外で働きたいと考えました。また、将来は国に貢献できる公務員になりたいと考えており、公務員✕海外で調べ、外務省に技術系の仕事があることを知り、現職に応募しました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代の専攻は博物館学であり、学生時代は国内外問わず博物館・美術館巡りを行っていました。その中で、大学3年次に海外研修という名目で欧州の博物館・美術館を巡る機会に恵まれ、将来は海外で働きたいと考えるようになりました。現在の仕事においては海外とのやり取りも多く、当時から鍛えた語学力や説明力が生かされていると感じます。又技術は世界の共通言語とも考えており、言葉が通じなくとも技術的な事は伝わることもあり、大変面白いと感じております。
 
◇ 記憶に残っている業務
 新型コロナウイルスが蔓延していた頃は、在サウジアラビア日本国大使館に勤務していましたが、オンラインでのG20(サウジアラビア開催)で主にロジスティック担当職員として携われたことは記憶に新しいです。当時、急速に普及していったオンライン会議や各種ツールの導入を最前線で担えたことは現在の業務でも役に立つと同時に、「なんとかなる」でなく「なんとかする」というマインドセットは精神的にも大きな成長がありました。
 
◇ 日々の仕事
 外務本省では、本省と在外公館をつなぐネットワークの開発や運用保守を担っており、在外公館では、館内のネットワークの運用保守を含め情報通信に関する業務全般を行っていました。最近までデジタル庁に出向しており、ガバメントクラウドソリューション(GSS)の各省庁の導入のための支援、主にパスポートの電子申請における課題解決、海外部門でのロジスティック補佐の3つの仕事に従事しました。どの仕事にも共通することは日々の学習とコミュニケーションの重要さです。また、官と民では物事の捉え方も異なるケースがあり、そのギャップの解消も日々の重要な仕事の一部になります。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 スケールの大きさが仕事の面白みと考えています。自分の仕事が国家事業の一部につながるということは責任の重みもありますが、プロジェクトを成し遂げたときの達成感は何物にも代えがたいものがあります。また、最先端技術に触れることも多く、生涯を通じて日々多くのことを学べる環境も官の仕事の面白みの一つだと思います。
 
◇ テレワークの経験
 最近まで出向していたデジタル庁においてはテレワークが推進されていることもあり、週に2日程度、自宅にてテレワークを実施しておりました。また、外務省でも業務の状況をみつつ、テレワークを実施しています。
  
◇ ある1日のスケジュール
  9:20 登庁
 10:00 省内関係者と打合せ、終了後概要メモ作成
 12:30 昼食(同僚とランチ)
 14:00 オンライン会議(2件ほど)
 19:00 退庁
 19:30 海外から帰国中の同期と夕食会

 



 
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