2025年度版技術系ガイド 

警察庁
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 警察庁には、国民の「安全・安心」のために、技術系職員がその能力を存分に発揮できるフィールドがあります!本庁では総合職(行政職)、一般職(情報通信/DNAセンター)職員が、附属機関である科学警察研究所では総合職(研究職)職員が活躍しています。総合職(行政職)職員は、理系としての素養を活かし、生活安全、刑事、交通、警備、サイバー警察といったあらゆる部門で政策の企画立案を担っています。一般職職員は、技術のプロフェッショナルとして、警察独自の情報通信ネットワークの構築、犯罪捜査における技術的支援等を担っています。総合職(研究職)職員は、それぞれの専門に応じて、科学捜査についての研究・実験等を担っています。

 
 

 本庁だけでなく、都道府県警察も活躍のフィールドであり、サイバー犯罪の捜査などをとおして、国民の安全・安心を守っています。
 


 ヘルメットに対するクロスボウの射撃状況(衝撃でわずかに矢がたわんでいる様子が見られる)


 プレートに対するクロスボウの射撃状況


 プレートに対するクロスボウの射撃状況(Cと比較すると振動で矢羽根の変形している様子が見られる)

 殺傷等事件をきっかけとしたクロスボウの所持等を許可制とする銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)改正作業に関連し、科学警察研究所では射撃状況の高速度撮影や威力評価を行いました。一発勝負となる高速度撮影では、研究業務や鑑定業務での経験に基づいて撮影条件を決定し、撮影された画像は広報を始めとした各所で活用されました。法改正に関わることは少ないのですが、威力評価を含めて想像以上に研究・鑑定といった日々の業務の経験が生きた事例です。
 


 約400m/s(マッハ数1.17)で飛翔する弾丸の発光強度画像


 発光強度画像から変換して得られた飛翔中の弾丸表面温度分布

 航空宇宙分野で研究されている画像計測法の「感温塗料(TSP)計測」について、飛翔中の弾丸を用いた評価検証を行いました。計測対象である弾丸表面に定着させた色素からの発光強度分布を高速度撮影で取得することが不可欠なところ、計測に十分な発光情報の取得に苦労しましたが、実験条件の見直しを繰り返すことでTSPによる温度分布取得に成功しました。その後、科捜研職員の方から「この計測結果が活用できた」という連絡をもらい、警察活動への貢献が実感できました。
 


 行動科学の視点から、未解決事件に関して、同一犯による事件の推定や、犯人特徴及び居住地等を推定する犯罪者プロファイリングの研究を行っています。

 行動科学の視点から、犯罪の捜査を支援するための研究を行っています。犯罪者プロファイリングについては、未解決事件に関して、同一犯による事件の推定や、犯人特徴及び居住地等を推定する方法の研究を行っています。取調べや事情聴取については、取調官、成人被害者、取調べを経験した受刑者を対象とした質問紙調査、一般人を対象とした模擬取調べ実験といったアプローチにより、我が国の警察における面接技術について実証的に検討しています。
 


 令和6年能登半島地震における警察部隊活動への技術的対応

 警察活動においては、あらゆる事件、災害等に迅速かつ的確に対応するため、指揮、報告、連絡等に用いる強靱な情報伝達手段が不可欠です。無線機をはじめとした通信機器や通信システムは「警察の神経系統」として大きな役割を果たしています。これらの企画・整備・運用に当たるとともに、災害等の発生時には通信機器を駆使して現場の警察活動を技術力で支えています。
 


 電子機器からの情報抽出・可視化、不正プログラムの解析等を行い、犯罪捜査の進展を技術で担っています。

 複雑・巧妙化するサイバー犯罪・サイバー攻撃等の捜査やその予防における技術的対応を担っており、電子機器からの情報の抽出・可視化、不正プログラムの解析、インフラ事業者に対するセキュリティ対策に必要な技術情報の提供等を行っています。
 


  警察では、被疑者DNA型記録等をデータベースに登録し、未解決事件をはじめ様々な事件の捜査に活用しています。

 警察では、被疑者から採取した資料から作成した被疑者DNA型記録及び犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる資料から作成した遺留DNA型記録をデータベースに登録し、未解決事件をはじめとする様々な事件の捜査において、犯人の割り出しや余罪の確認等に活用しています。
 警察庁刑事局犯罪鑑識官では、全国の警察署から嘱託を受け、被疑者から採取した資料のDNA型鑑定を行っています。
 
    

 

職員紹介

 
佐々木 彩乃



 
警察庁 サイバー警察局 サイバー企画課 課長補佐

総合職試験(数理科学・物理・地球科学) 大卒
 
2016年  警察庁採用
2017年  警察庁情報通信局通信施設課係長
2018年  警察庁刑事局捜査支援分析管理官付係長
2020年  警察庁長官官房企画課係長
2021年  警察庁情報通信局通信施設課係長
2021年  警察庁情報通信局情報管理課専門官
2022年  警察庁長官官房技術企画課専門官
2022年  現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。


様々な分野で、日々新しい知識、人、仕事と出会える

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 就職活動の際に、幼少の頃、警察の科学捜査に興味を持っていたことを思い出し、民間だけでなく公務員を就職先として考えるようになりました。最終的に、様々な分野で幅広い業務に携わる機会がある国家公務員を選択しました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は素粒子物理学を専攻しており、研究対象は「暗黒物質(ダークマター)」であったところ、研究内容をそのまま業務に生かせる機会には巡り合えておりません。しかし、学生時代、一般には理解しづらい研究内容を人に伝えることに心を砕いてきた経験は、現在の業務で広報・啓発、講演等で様々な方に向けて情報発信する場面で生かせています。
 
◇ 記憶に残っている業務
 全国の捜査員が、犯罪発生状況、犯罪手口等の犯罪関連情報を地図上にプロットして犯罪発生場所等を分析する際に使うシステムの更新に従事した経験です。情報分野の出身でないため難しいこともありましたが、システムの新機能の検討や使い方の指導のために第一線の捜査員と意見交換をしたことは、現場の声を取り入れ、犯罪捜査の高度化に貢献できた貴重な機会だったと感じます。全国警察へ影響を与えることができるというのも、国家公務員ならではの仕事だったと思います。
 
◇ 日々の仕事
 現職は企画担当ということで業務内容は多岐に渡りますが、主なものとしては、警察のサイバー人材育成検討、民間企業等からの情報収集、被害防止対策の検討に向けた有識者検討会の運営があります。サイバー分野は一つの組織だけで取組を進めていくことが難しいところ、民間企業、関係団体、各省庁の関係者とお会いして情報交換や施策検討を行う機会が非常に多いですし、場合によっては海外捜査機関等と連携して施策を進めていくこともあります。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 警察では、犯罪捜査、交通、災害対応といったように幅広い施策を取り扱っており、警察庁技官は採用時の試験区分によらず様々な分野を経験するキャリアパスとなっています。そのため、異動の度に新たな業界・分野への知識を深めることができることが魅力であると感じています。また、現職のサイバー分野は世間の関心も高く、携わった施策が報道で取り上げられることが多く、社会に影響を与える仕事に従事していると実感する機会があることはやり甲斐の一つです。
 
◇ テレワークの経験
 コロナ禍を契機として、テレワーク環境の整備や意識の醸成が進み、個人のニーズに合わせて、定期的にテレワークを実施しています。その他にも、1日オンライン研修を受講するような場合には、テレワークを活用することで研修に集中することができて便利ですし、働き方の選択肢が増えていると感じます。
  
◇ ある1日のスケジュール
  9:30 登庁&サイバー関連情報収集
 10:00 講演に向けた資料作成
 12:00 昼食
 13:00 先端技術に関する関係省庁会合への参加
 14:30 サイバーセキュリティ関連事業者と打合せ
 16:00 金融機関、関係団体等との定例会合へのオンライン参加 
 19:00 退庁
 19:30 乗換駅でショッピング

 



 
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