2025年度版技術系ガイド 

国税庁
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 国税庁の技術系職員は、「鑑定官」と呼ばれ、課税物件である酒類・揮発油類の分析・鑑定を通して適正かつ公平な国税の賦課の実現のため活躍しています。また、酒類製造者への技術的な指導や相談等の酒造技術の向上のための取組、酒類の安全性確保に関する取組を実施しています。
 その他、酒類産業振興のため、技術的な知見を活用し、国内産酒類の輸出促進に向けた取組等を行っています。
 鑑定官は、以上のミッションを遂行するため、酒類・ガソリンについて技術的知見を持つスペシャリストとして活躍しています。

 
 

 課税物件である酒類のアルコール分分析

  税務調査等で疑義のある酒類や揮発油について、鑑定官が分析・鑑定を行い、その性状を明らかにすることで、酒税及び揮発油税等の適正かつ公平な国税の賦課に貢献しています。
 


 鑑評会の開催

 各国税局では、酒造技術と酒類の品質の維持・向上等を目的に鑑評会を開催しています。酒類製造者が酒造技術の粋を凝らしたお酒を官能評価により審査し、優れた品質のお酒を製造した酒類製造者に賞を授与しています。また、酒類製造者の技術研鑽のため、酒類製造者向けに出品酒の品質評価を行う場を設けています。
 


 酒類製造者に対する技術相談

 酒類製造者の技術基盤向上のため、各国税局において酒類製造者に対して技術相談・技術指導を行っています。時代の変化を常に意識して、新しい技術的な知見や酒造技術をキャッチアップしながら製造現場に生かして行くことにより、伝統を踏まえつつ酒類の新しい価値を現場と共に作り上げています。
 


 コーデックス委員会への参加

 酒類の安全性確保のため、食品の成分等に関する国際規格を策定しているコーデックス委員会において、酒類に関係する規格等の策定に参画しています。最近では、果実酒等に使用できる食品添加物の使用や、酒類に含まれる鉛の基準値に関する議論等に参画し、国際会議にも出席しています。
 
    

 

職員紹介

 
田中 淳



 
国税庁名古屋国税局課税第二部鑑定官室 鑑定官

総合職試験(農業科学・水産) 院卒
 
2014年  国税庁採用 課税部鑑定企画官付
2014年  国税庁仙台国税局 課税第二部鑑定官室
2017年  国税庁東京国税局 課税第二部鑑定官室
2018年  国税庁課税部鑑定企画官付(ワイン添加物・HACCP担当)
2021年  国税庁東京国税局 課税第二部鑑定指導室 鑑定官
2022年  現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。

技術とアイデアを形にする現場がここにある。

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 理系大で養った知識・経験を活かしたいという気持ちが強かったのと、自分の手を動かすことや、モノづくりに関わりたいという思いがありました。国家公務員の業務説明会に参加した際に、そうした思いを実現できそうだと感じたのがきっかけです。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は農学を専攻しており、フィールド(畑)と実験室(微生物培養や顕微鏡観察など)を半々くらいで過ごしました。自分の専攻と仕事の内容に直接的はつながりませんが、実験器具の取扱いや、考え方、情報のまとめ方など、学生時代の経験が役に立つ場面は多いと感じています。学生時代はそれが当たり前となっており、あまり意識しませんでしたが、今の仕事を進めていく上で、自分の強みになっていると感じます。
 
◇ 記憶に残っている業務
 国税庁では、日EU・EPAに基づき、EUの醸造技術(ワイン添加物)を日本でも使用可能とするために必要な関係法令等の改正作業を担当しました。酒類総合研究所をはじめ、関係省庁や業界団体と調整を重ねたほか、EUと会議において直接交渉を行うなど、日EU双方の関係者と細部にわたって調整したことが印象的です。ワイン業界の今後のあるべき姿を想像し、絶対的な正解のない中で道を切り開く、良い経験となりました。
 
◇ 日々の仕事
 今は酒類鑑評会(日本酒の品質評価会)やビールワークショップ(ビール製造者向けの勉強会)など、産業振興に係る業務を担当しています。いずれも、酒類製造者が必要とするものに耳を傾け、関係者と調整して形にしていくよう、心がけています。他にも、酒類製造に係る技術相談や、酒類の分析なども幅広くこなしており、時には官能評価を行って(自分自身が分析装置!となって)、酒類製造者に助言をしています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 私たちは「技術」を切り口に酒類業界に関わりますが、何ができるかはアイデア次第です。各地の国税局では、近年のクラフトブルワーの増加を踏まえ、勉強会を立ち上げる例が増えています。当局でもビールワークショップを開催していますが、アンケート結果を踏まえテイスティング勉強会を新設するなど、先輩職員達が積み上げてきたものをより良く発展できるよう工夫を凝らしています。現場に近く製造者の顔が見えるからこそ、その成否も分かりやすく、毎回が真剣勝負です。
 
◇ テレワークの経験
 コロナ以降、テレワークの機会が増えましたが、落ち着いて仕事に取り組めるのがよいところです。特に講演会用の資料作成など、膨大な情報をまとめるときに、自宅で集中して取り組めるのがとてもよいと感じました。国税庁でもモバイルPCと仕事用の番号が導入されて、テレワークがぐっと身近になりました。
  
◇ ある1日のスケジュール
  8:20 登庁
  9:00 日本酒の香気成分分析のため、試薬を調整
 12:15 昼食
 13:00 酒類製造者から相談を受け、アルコール分析法をレクチャー
 16:30 ガスクロマトグラフに試料をセッティングし、香気成分の分析開始
 17:00 GI静岡のイベントに向け、日本酒の利き酒と打合せ
 18:00 退庁
 19:30 趣味の料理作りで気分転換

 



 
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