2025年度版技術系ガイド 

  農林水産省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 日本の食料・農林水産業は、自然災害の頻発や地球温暖化、生産者の減少等の生産基盤の脆弱化、生産・消費の変化など、様々な課題に直面しています。将来にわたって食料の安定供給を図り、生産力向上と持続性の両立を実現するには、イノベーションといった、より科学的な手法が欠かせません。具体的には、収量増加や品質向上に帰するバイオテクノロジーや、省力化を可能にするAI・IoT・ロボット技術を活用したスマート農林水産業などの開発・実装が急務となっており、農林水産省では多様なバッググラウンドを持つ技術系職員が、自身の専門的な知識・能力を生かしながら、現場の課題を踏まえた政策の企画・立案・実行など広い範囲で活躍しています。

 
 

 ドローンによる農薬散布
 


 食文化の継承・振興

 次の世代に対し、日本の豊かな食や美しく活力ある地域を継承していくため、農産物の生産振興、農業の担い手育成、農産物・食品の輸出促進、伝統的な食文化の継承など、「食」「農」に関するあらゆるフィールドの課題に全力で取り組んでいます。
 また、ロボット技術、AI・IoTといった先端技術の導入を進めることで、農作業の効率化を図るとともに、化学農薬・化学肥料の使用量削減など環境への負荷を軽減し、持続可能な農業の実現を目指しています。
 


 基盤整備により大区画化されたほ場(茨城中部地区)
 


 締切堤防の耐震化対策工事(児島湾沿岸地区)

  食料の安定供給を確保し、魅力ある農業・農村を次世代に引き継ぐため、スマート技術の導入に資する農地の大区画化、パイプライン化・ICT活用による水利用の高度化等を推進しています。
 また、激甚化・頻発化する自然災害を踏まえた流域治水の取組、農業水利施設の老朽化対策、豪雨・地震対策等により、農村地域の防災力を高めるとともに、農村の活性化を図るため、情報通信環境の整備等にも取り組んでいます。
 


 木材をふんだんに利用した大規模建築物

 高性能林業機械による森林整備

 国土の7割を占める森林の適切な経営管理による森林資源の循環利用を通じて、次の世代に向けた持続可能な森林づくりを推進すると同時に、豊富な人工林資源を生かした国産材の安定供給と需要拡大に向けて、建築物での国産材利用の促進等に取り組んでいます。
 また、国土の約2割を占める国有林について、適切な森林整備を始めとして生物多様性の保全など公益性を発揮を目指した管理経営に取り組んでいます。
 


 漁獲物の水揚げ風景

 豊かな水産物を次の世代へ。
 近年海洋環境の変化するなか、水産業の成長産業化や水産物の安定供給を図るため、資源管理の着実な実施や、漁船漁業の生産・経営構造の改革、スマート水産技術の導入、資源の減少が懸念されるサケ類・ウナギの安定供給のための技術開発や、ブリ類・マダイ・ホタテガイ等養殖の生産・輸出・消費拡大に取り組んでいます。また生産・流通・小売間の連携強化のもと水産物の付加価値向上を目指し、漁村の活性化を推進します。
 


 スマート水産業を活用し効率的な経営に取り組むマダイ養殖
 


 水産業の拠点となる漁港の整備

 


 水産資源を守る・増やす漁場の整備

 漁港と漁場は、水産業の健全な発展と国民への水産物の安定供給を図るための基盤であり、重要な役割を担っています。水産庁では、漁業を支える防波堤や岸壁といった漁港施設の整備や、豊かな生態系を育む場である藻場・干潟の保全・創造の取組を行っています。
 また、豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を活かした「海業(うみぎょう)」等の取組を推進し、漁村の振興を図っています。
 
    

 

職員紹介

 
渥美 和音



 
農林水産省 大臣官房環境バイオマス政策課みどりの食料システム戦略グループ 気候変動国際交渉係長

総合職試験(農業科学・水産) 院卒
 
2021年  農林水産省採用  農林水産技術会議事務局研究推進課   
2021年  農林水産省農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携企画2係
2023年  現職

※職員の所属(役職)は、原稿執筆時のものを記載しています。

理系の知見を生かして社会に貢献できる

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 学生時代は農学研究に取り組んでいましたが、技術的な知見を生かして社会に貢献できる仕事に携わりたいと思い、国家公務員を志望しました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代に農学部で学んだ知識が多くの場面で役立っています。現職では、農業分野の日本技術を海外にも展開する事業を担当していますが、大学で学んだ知識が、スマート農機やAIを活用したモニタリングなどの最新技術について理解する助けになりました。
 
◇ 記憶に残っている業務
 気候変動の国際交渉に携わる現職で、COP28の交渉会合に現地参加したことが記憶に残っています。世界全体が関わる気候変動という問題について、先進国・途上国の立場が異なる場面も経験しましたが、最終的に将来を見据えた決定が行われた際に会場で大きな拍手が上がったのは、とても印象的でした。
 
◇ 日々の仕事
 国際会議へのオンライン出席、予算事業による民間事業者の取組の推進、国際機関とのプロジェクト実施など、業務は多岐にわたります。それぞれ違ったカウンターパートと協力して取組を進めています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 気候変動に関する世界全体の方針にかかわる会議に出席したり、国際的なプロジェクトを通じて、民間企業や海外の政府機関等をつなぐ役割が果たせることにやりがいを感じています。
 
◇ テレワークの経験
 テレワークは、資料を読み込んだり作成したり、手を動かす作業が多い日に行っています。テレワーク中も、必要があれば出勤している方とオンライン会議を行うことができるので、業務によって使い分けることが効率的だと感じました。
 
◇ ある1日のスケジュール
  9:30 登庁
 10:30 民間事業者との打合せ、終了後概要メモ作成
 12:00 昼食(同期とランチ)
 13:00 制度の検討会に出席するため、環境省へ
 15:00 打合せを踏まえて資料を作成、省内報告
 22:00 国際会議出席(※)、概要作成 (※)時差のため、執務時間外に会議が行われることもあります。
 23:40 退庁
 24:00 自宅で映画鑑賞

 



 
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