2025年度版技術系ガイド 

総務省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 総務省は、我が国の成長分野のひとつである情報通信分野を所管し、通信・放送分野の健全な発展のほか、サイバーセキュリティの確保、先端的な研究開発、ICTの利活用の推進などを行う「情報通信行政」を担っています。
 情報通信行政においては、情報通信分野の最先端の技術動向を踏まえた政策が求められており、技術の特性を踏まえた制度見直しや利用環境の整備、安全安心に配慮した対応などが求められます。
 技術をよく理解した上で、政策を企画立案していくことが求められますので、技術系職員が理系のバックグラウンドを活かして活躍しています。

 
 

 世界無線通信会議(WRC)

  世界無線通信会議(WRC) は、国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)が電波利用の国際的なルール等について議論するために、およそ4 年に1 度開催している会合で、各国代表がそれぞれの意見を持ち寄り様々な議論を通じて国際的なルールを策定しています。
総務省では、2027 年に開催予定のWRC-27 において日本として有意義な議論ができるよう、国内外の事前調整などの準備を進めています。
 


 Beyond 5G

  「Beyond 5G」(いわゆる 6G)は、2030 年頃の導入が見込まれる次世代の情報通信インフラであり、あらゆる産業や社会活動の基盤となることが期待されています。
 Beyond 5Gの研究開発・国際標準化、社会実装、海外展開をより効果的・実効的に推進していくため、情報通信審議会において新たな戦略を策定、総務省では新戦略に基づき、Beyond 5G基金事業をはじめとするBeyond 5Gの早期実現に向けた取組を推進しています。
 


 周波数の帯域確保目標

  周波数需要は年々大きくなっており、将来的な周波数の確保が課題になっています。特に5G・Beyond5G、衛星通信・HAPS 、IoT・無線LAN、次世代モビリティといった多くの周波数帯域を必要とする無線システムについては、目標を立てて周波数を確保していく必要があり、 2025年度末までに全体で+約16GHz幅の帯域確保を目指しています。2024年5月現在、約3GHz幅の帯域を確保、順次周波数需要の高い無線システムに割り当て、利用可能としています。
 


 ICT分野の国際標準化

  国際電気通信連合(ITU)のうち、電気通信標準化部門(ITU-T)では、ICT分野の国際標準化や政策的な課題について検討を行っています。
 昨今では、電気通信分野の効率性向上のためのAI技術や、量子鍵配送等の将来ネットワーク技術等に係る標準化活動が行われました。
 2024年は、4年に1度開催される世界電気通信標準化総会(WTSA) の開催が予定されており、日本として戦略的に標準化を進めていくため、国内外の関係者との調整を進めています。
 


 非常時における携帯電話の事業者間ローミング

  携帯電話サービスは、今や国民生活や経済活動に不可欠なライフラインとなっており、平時はもとより自然災害や通信障害等においてもつながることが求められています。そのため、非常時に臨時に他の事業者のネットワークを利用する「事業者間ローミング」を実現するため、2022年9月から「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」を開催しています。
 2025年度末頃までの導入を目指し、相互接続性の確保に向けた基盤の検証を行い、制度整備に向けた検討を行っています。
 


 サイバーセキュリティ人材の育成

  近年巧妙化・複雑化するサイバー攻撃により、政府機関、民間企業等において情報漏えい等の被害が頻発しており、サイバー攻撃に対処可能な態勢を強化することは急務となっています。総務省では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に組織した「ナショナルサイバートレーニングセンター」において、実践的な対処能力を持つセキュリティ人材を育成するなど、我が国のサイバー攻撃への対処能力を強化し、国民が安心して安全に利用できるネットワーク環境の実現に貢献しています。


 無線LANの利用拡大
 
  無線LANは家庭や職場、街なかの飲食店、駅、空港などといった様々な場所で利用されており、社会インフラのひとつとして国民の生活に欠かせないものとなっています。
 総務省では、無線LANの利用拡大等に取り組んでおり、例えば、さらなる高速通信・低遅延を実現するWi-Fi 7導入のための制度整備や、無線LANを活用したドローンの利用環境の整備に取り組んでいます。
 


 HAPSによる強靱なネットワークの構築
 
  HAPSとは、地上20km前後の高度を飛行する飛行体に移動通信システムの基地局等を搭載したもので、この一局で超広域(直径100km以上)をカバーでき、災害に強いネットワークの構築に資すると期待されています。
総務省は、2023年に開催された世界無線通信会議(WRC)での検討結果を踏まえて、HAPS導入に向けた国内の制度整備等を行うこととしています。
 


 
 大規模言語モデル(LLM)の開発力強化
 
  2022年のChatGPTの登場以降、人間と遜色のない自然な文章の生成が可能なAIである「大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)」の開発競争が、世界中で激化しています。総務省では、我が国のLLM開発力を強化するため、NICTにおいてLLM開発に必要となる大量・高品質で安全性の高い学習用言語データを整備・拡充し我が国のLLM開発者等にアクセスを提供する取組を進めています。更に、LLMに起因する様々なリスクに対応するための技術の研究開発にも取り組んでいます。
 


 
 放送設備のIP化・クラウド化
 
  ICTの進展に伴い、放送分野においても、利便性向上、運用効率化及びコスト低減等の観点から、マスター設備(番組送出設備)を中心として、放送設備のIP化・クラウド化が進むと想定されます。
 放送は、緊急災害時を含め、常に国民生活に必需な情報をあまねく届けるという高い公共性を持つことから、高い安全・信頼性の確保が求められています。総務省では、放送設備のIP化・クラウド化にあたり、それらに対応した放送設備の安全信頼対策の検討及び制度整備に取り組んでいます。
 
    

 

職員紹介

 
宇野 祐輝
総務省国際戦略局技術政策課研究推進室先端研究係長

総合職試験(工学) 大卒
 
2018年  総務省採用 総合通信基盤局電波部移動通信課
2020年  総務省大臣官房総務課
2021年  総務省総合通信基盤局総務課総括係長
2022年  現職

理系的センスを軸とした総合格闘技

 
 
◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 大学院への進学が決まっていた大学4年の冬、友人に連れられて説明会に参加したのがきっかけです。当時は自身の進路について「理系だから何となくエンジニアかな」程度しか考えていなかったのですが、理系的なセンスを活かしながら国のために働く技術系国家公務員の格好良さに惹かれました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は電気系工学を専攻しており、研究活動においては、MEMS、半導体回路設計、無線電力伝送、超音波浮揚などの様々な分野に関わりました。これらの知識が直接的に仕事で活きた場面は今のところほとんどありませんが、学生時代に培った理系分野に対する理解力や知的好奇心が、現在仕事を行う上での強みやモチベーションに繋がっています。
 
◇ 記憶に残っている業務
 今では「当たり前」の情報通信インフラとしてスマートフォン等で活用されている5Gですが、入省後最初の部署で我が国で初めての5G基地局の免許手続を担当しました。 当時はそれまで一緒に働いていた上司が別の部署に異動となり不安が大きかったですが、残った自分が頑張らなければとの思いで省内関係者や通信事業者との調整に汗をかき、無事、適切に免許審査・付与を行うことができました。 街中でふと5G基地局を目にするたびに当時のことが懐かしく思い出されます。
 
◇ 日々の仕事
 現在は、総務省所管の研究機関であるNICT等とともに、生成AI開発に必要なデータ整備や多言語翻訳技術の高度化等のAIに係る研究開発プロジェクトに取り組んでいます。 具体的には、財務当局との折衝等を通して研究開発予算を確保したり、AI研究者等との議論を通して研究開発計画を策定したり、関係省庁や弁護士と調整しながらAI開発に必要なデータの法的取り扱いについて整理したり等々、様々なカウンターパートと連携しながら多岐に渡る業務を行っています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 5GやAIといった先端技術に触れて技術的な面白さを感じつつ、研究開発や社会実装等の技術のライフサイクルの様々な場面に幅広く関わりながら、国の発展に貢献できる点にやり甲斐を感じています。 技術系国家公務員の仕事では、技術に対する理解力といった理系的な能力がベースとして求められるとともに、法律・予算等に係る文系的な能力も求められます。まさに「理系的センスを軸とした総合格闘技」であり、総合格闘技ならではの仕事の幅広さが魅力です。
 
◇ テレワーク経験
 総務省全体の国会対応の取りまとめを担当していた際は、3日に1日のペースでテレワークを実施していました。国会対応等でどうしても退庁が遅くなってしまう場合でも、次の日はテレワークを行うなど柔軟で効率的な働き方が可能です。 他方で、今の部署では出勤することが多いです。同僚とのふとした会話や雑談から生まれる仕事への新たな気づきを大切にしています。(それをテレワークでもできるようにするのが今後の課題です。)
 
◇ ある一日のスケジュール
  9:30 登庁
 10:00 今週締切の事務作業を消化
 11:00 上司と人事面談、今期の目標について認識合わせ
 12:00 昼食(持参した冷凍ご飯と昨晩の夕食の残りを自席で)
 13:00 夕方の打ち合わせに向けてディスカッションペーパーを作成
 15:30 上司の議員レクに同行
 16:30 AI技術の社会実装に向けて研究機関・民間企業と打ち合わせ
 17:30 同僚と研究開発プロジェクトの今後の方向性について議論
 19:00 退庁
 20:00 自宅にて妻と夕食

 



 
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