2026年度版技術系ガイド 


環境省
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 ~地球と人類の未来の守り人~

 環境省は、世界を舞台にした国際交渉から、国内で現場に寄り添う仕事まで様々な場面で活躍し、「環境」を軸にして仕事ができる唯一の省です。スペシャリストとゼネラリストとの両視点からあらゆる分野で活躍し、世の中の制度づくりに携わることができます。
 環境政策は科学的知見を重視することから、技術系職員の役割が大きく、「理工系採用職員」は、気候変動対策、循環型社会の構築、水大気環境保全、化学物質対策等、「自然系採用職員」は、生物多様性の保全、国立公園の保護管理、希少種の保全や外来生物対策、施設整備、動物愛護管理などの分野で活躍しています。

 



●阪神タイガースファーム施設「ゼロカーボンベースボールパーク」を核とした脱炭素先行地域(兵庫県尼崎市)

 地方公共団体が主導する脱炭素の取組(地域脱炭素)の主要な取組の1つが、脱炭素先行地域の実現です。2030年度までに脱炭素と地域課題解決を同時に実現し全国のモデルとなる地域として、2025年5月までに88か所を選定し、年間数百億円規模の地域脱炭素推進交付金により支援しています。兵庫県尼崎市では、2025年2月に阪神タイガースファーム(2軍)施設「ゼロカーボンベースボールパーク」が完成し、脱炭素化と地域経済活性化・市民やファン等の行動変容の同時達成に向けて取組を進めています。

 


●企業が管理するブドウ畑も自然共生サイトに認定
(キリンホールディングス株式会社・シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード)

 2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる、ネイチャーポジティブの実現に向けては、企業や地方公共団体など様々な主体による取組を促進することが重要です。環境省では民間等の取組によって生物多様性の保全が図られている場所を「自然共生サイト」として認定する取組を令和5年度から開始し、全国328か所を認定しました。また、取組をさらに促進していくために「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律」を新たに制定するなど、オールジャパンでネイチャーポジティブの実現に取組むための制度づくりを進めています。

 


●国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)アゼルバイジャン(バクー)

 気温上昇に加え、大雨の発生頻度の増加、高温による農作物の生育障害など気候変動の影響は既に現れており、緊急の気候変動の取組が必要です。国際交渉の場であるCOPは世界全体の気候変動対策において大きな役割を果たしています。環境省職員は、COPに出席し、日本の考えを主張し、世界全体のルール形成や対策の推進に貢献しました。また、ジャパンパビリオンを設置し、日本の優れた製品・サービスや取組を世界に紹介しました。

 


●営農型太陽光発電の導入促進

 環境省では、再生可能エネルギーの最大限導入のために、環境に適正に配慮し、地域に貢献する、地域共生型の再エネ事業を進めています。例えば、発電と営農が両立する営農型太陽光発電に対して設備導入の支援を行い、普及促進を図っています。

 


●奄美大島でのマングース根絶

 1979年ごろ、ハブやネズミ対策として人為的に奄美大島に持ち込まれたフイリマングースは、分布拡大に伴い農畜産被害や地域の固有種への影響を生じさせるようになりました。これに対し、環境省は地方公共団体等と協力しながら40億円以上の事業費をかけ20年以上にわたり奄美大島マングース防除事業を実施し、令和6年9月に奄美大島におけるマングースの根絶を宣言しました。この事業は世界に例のない成功事例となった一方で、この事業に膨大な年月と資金を要したことから、外来種被害予防三原則である「入れない・捨てない・拡げない」の重要性を再確認しました。

 


●知床連山より知床岳を望む(知床国立公園)
 
 環境省が管理する国立公園は日本を代表する自然の風景地であり、利用者に唯一無二の感動体験を提供するとともに生物多様性の確保にも貢献しています。環境省のレンジャー(自然系採用職員)は、国立公園の保護管理を充実させつつ魅力向上・利用促進を図り、保護と利用の好循環を生み出します。現場にて自ら大自然を体感しながら、地域の方々をはじめ様々な関係者と協力して取り組む仕事です。

 


●国立公園の利用拠点整備(富士箱根伊豆国立公園)
 
 富士箱根伊豆国立公園の田貫湖野営場のテラスを再整備しました。テラスの高さや柵の構造について工夫をし、富士山の雄大な眺望を確保することにより、来訪者が自然を間近に感じ、ゆったりと滞在して満喫できる空間を創出しました。国立公園内で人や自然の環境に応じた施設や空間を創出し、保護と利用の好循環を回す仕事です。


●福島県内の除染により発生した土壌等を保管している「中間貯蔵施設」

 環境省では、2011年の原発事故からの環境再生・復興に向けた取組を進めています。
現場にある福島の事務所では、地元の方々とのコミュニケーションを取りながら、除染や廃棄物処理、中間貯蔵施設の整備などの大規模な工事の発注・監督・監理などを行っています。
また、本省では、現場事務所をサポートしつつ、環境再生・復興を進めるための事業の企画・調整や制度面・技術面の検討、国内外への情報発信などを行っています。


 


●災害廃棄物処理(令和6年能登半島地震対応)

 令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震において、被災地域の早期の生活再建のため、被災した家屋等の解体・撤去や災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理が必要不可欠です。環境省職員も1月2日から被災地域に入り、公費による家屋等の解体・撤去の加速化や石川県外への災害廃棄物の搬出・処理などを支援し、早期の復旧・復興に貢献しています。
 


●被災ペットの災害対応

 野生動物以外にも飼育動物の愛護管理の業務も行っています。災害が起きた際にペットを飼育している方の安全や命を守るため、ペット同行避難等に関するガイドラインの作成や自治体での避難訓練の支援なども行っています。
令和6年能登半島地震においては、発災後直後から職員が現地でペットの同行避難の状況などの情報を収集し、石川県や獣医師会、関係団体などと協力してペットを飼育している被災者の支援を実施するなど、現場と制度の両面から人と動物の共生社会の実現に貢献します。
    

職員紹介

林 徹 
林徹さん
環境省 大臣官房 環境影響評価課 環境影響審査室 審査官(併任:環境影響評価課)


2018年 環境省採用 環境再生・資源循環局 総務課 循環型社会推進室
2019年 大臣官房 秘書課(併任)、水・大気環境局 土壌環境課(併任)
2020年 厚生労働省 医政局 経済課(併任)・新型コロナウイルス感染症対策推進本部(併任)
2020年 環境省 地球環境局 総務課 脱炭素社会移行推進室 排出量評価係長
2022年 東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 地域循環共生システム研究室 助教
2024年 現職



持続可能な社会、環境を未来につなぐために、ひたむきに働けます

 
◇ 採用年・採用試験(区分)院卒・大卒

 2018年採用 総合職試験(化学・生物・薬学) 院卒
 

◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 将来役立つと信じる特定の技術を研究すること大事ですが、あらゆる技術を視野に入れ、その普及や社会的制度も含め包括的かつ社会により直接的な形で環境問題解決に貢献したいと思ったためです。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 人工光合成、すなわち太陽光エネルギーでCO2や水から有機物や水素など有用な物質を作ること、特に水素製造に関する研究をしていました。燃焼時にCO2を出さない水素は、火力発電の脱炭素化の鍵としても近年注目されています。火力発電の脱炭素化計画も審査している現在の仕事に、水素製造技術への理解がまさに活かされています。博士課程まで修了しましたが、新たな知見を生み出し発信した経験は仕事でも役立っています。
 
◇ 記憶に残っている業務
 入省1年目の夏に、G20会合で地球の裏側のアルゼンチンへ、航空便の関係で世界一周となった出張に行ったことが記憶に残っています。唯一の若手出張者として旅程の細かい調整を行ったことは大変でしたが、無事出張でき充実感がありました。会合に臨む方針や発表内容の調整にも携わることができ、リサイクルを含め地球の資源をいかに有効に活用するかが議題の会合でしたが、何よりも気運の高まりに貢献できていることにやりがいを感じました。
 
◇ 日々の仕事
 火力発電所、洋上風力発電所の建設計画を審査するとともに、より環境に配慮した計画となるよう促しています。火力は、国の温室効果ガス削減目標と整合し、水素の使用などで2050年には脱炭素化されるか、洋上風力は、人や自然と調和した計画かなどの観点から審査しています。最新、あるいは将来の技術も見据えて審査する必要があり、時には研究者の方の力もお借りしながら日々知見を蓄えています。全国の現地調査にも行っています。
 
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 持続可能な社会の実現のため、環境を将来につなぐためにひたむきに働けることが一番のやりがいです。環境と何かが対立する時代ではもはやなく、環境を軸として環境・経済・社会の統合的向上を目指して働ける点でもひたむきになれます。そのような政策を考えるためには、社会やあらゆる技術を見渡し、科学的知見に基づく必要があると考えています。その中で自らの技術系としての背景も生かしつつ、いろいろな方と取り組めることに充実感があります。
 
◇ テレワークの経験
 個人の作業に没頭したいときやオンライン会議・研修が主体の日は、特にテレワークが向いているように思います。ビデオ通話やチャットのツールも整備されていて、テレワークでもコミュニケーションに問題が無いようになっています。会議や打合せでも、テレワークの人が参加できるようにオンライン会議室を準備することはごく当たり前の習慣になっています。働く場所の選択肢があることは、気持ちの面でもメリットだと思います。
  
◇ フレックスの経験
 フレックスで早めの登庁時間を取り入れています。生活リズムに合わせて勤務時間を前後などに動かせることは、仕事の効率や質に良い影響を与えていると思います。周りでも積極的に活用されています。
  
◇ ある1日のスケジュール
8:00 起床
8:30 自宅を出発
9:00 登庁、タスクの整理、メールチェック
9:30 発電所建設計画の文書読み込み、調査事項洗い出し
11:00 現地調査へ地方環境事務所と相談
12:00 昼食(同じ室の同僚と他省庁の食堂へ)
13:00 海生生物の調査手法について勉強
15:30 洋上風力の環境影響に関する専門家検討会に参加
19:00 退庁、後輩と人気のラーメン屋へ
21:00 帰宅、小説を読んでリフレッシュ
24:00 就寝
 

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