2026年度版技術系ガイド 


警察庁

 ~市民の安全を守るリーダー~

 警察庁には、国民の「安全・安心」のために、技術系職員がその能力を存分に発揮できるフィールドがあります!本庁では総合職(行政職)、一般職(情報通信/DNAセンター)職員が、附属機関である科学警察研究所では総合職(研究職)職員が活躍しています。総合職(行政職)職員は、理系としての素養を活かし、生活安全、刑事、交通、警備、サイバー警察といったあらゆる部門で政策の企画立案を担っています。一般職職員は、技術のプロフェッショナルとして、警察独自の情報通信ネットワークの構築、犯罪捜査における技術的支援等を担っています。総合職(研究職)職員は、それぞれの専門に応じて、科学捜査についての研究・実験等を担っています。


●本庁だけで本庁だけでなく、都道府県警察も活躍のフィールドであり、サイバー犯罪の捜査などをとおして、国民の安全・安心を守っています。【総合職(行政職)・一般職(情報通信)】
 


●ヘルメットに対するクロスボウの射撃状況(貫入時の衝撃で矢がわずかにたわんでいる)【総合職(研究職)】

 殺傷等事件をきっかけとしたクロスボウの所持等を許可制とする銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)改正作業に関連し、科学警察研究所では射撃状況の高速度撮影や威力評価を行いました。一発勝負となる高速度撮影では、研究業務や鑑定業務での経験に基づいて撮影条件を決定し、撮影された画像は広報を始めとした各所で活用されました。法改正に関わることは少ないのですが、威力評価を含めて想像以上に研究・鑑定といった日々の業務の経験が生きた事例です。




●プレートに対するクロスボウの射撃状況(Cと比較すると振動で矢羽根の変形している様子が見られる)プレートに対するクロスボウの射撃状況(衝突の直前)【総合職(研究職)】


●プレートに対するクロスボウの射撃状況(衝突に伴う振動で矢羽根が変形している)【総合職(研究職)】
 


●(左)約400m/s(マッハ数1.17)で飛翔する弾丸の発光強度画像
  (右)発光強度画像から変換して得られた飛翔中の弾丸表面温度分布【総合職(研究職)】

 航空宇宙分野で研究されている画像計測法の「感温塗料(TSP)計測」について、飛翔中の弾丸を用いた評価検証を行いました。計測対象である弾丸表面に定着させた色素からの発光強度分布を高速度撮影で取得することが不可欠なところ、計測に十分な発光情報の取得に苦労しましたが、実験条件の見直しを繰り返すことでTSPによる温度分布取得に成功しました。その後、科捜研職員の方から「この計測結果が活用できた」という連絡をもらい、警察活動への貢献が実感できました。

 


●行動科学の視点から、未解決事件に関して、同一犯による事件の推定や、犯人特徴及び居住地等を推定する犯罪者プロファイリングの研究を行っています。【総合職(研究職)】

 行動科学の視点から、犯罪の捜査を支援するための研究を行っています。犯罪者プロファイリングについては、未解決事件に関して、同一犯による事件の推定や、犯人特徴及び居住地等を推定する方法の研究を行っています。取調べや事情聴取については、取調官、成人被害者、取調べを経験した受刑者を対象とした質問紙調査、一般人を対象とした模擬取調べ実験といったアプローチにより、我が国の警察における面接技術について実証的に検討しています。
 


●令和6年能登半島地震における警察部隊活動への技術的対応【一般職(情報通信)】

 警察活動においては、あらゆる事件、災害等に迅速かつ的確に対応するため、指揮、報告、連絡等に用いる強靱な情報伝達手段が不可欠です。無線機をはじめとした通信機器や通信システムは「警察の神経系統」として大きな役割を果たしています。これらの企画・整備・運用に当たるとともに、災害等の発生時には通信機器を駆使して現場の警察活動を技術力で支えています。
 


●電子機器からの情報抽出・可視化、不正プログラムの解析等を行い、犯罪捜査の進展を技術で担っています。【一般職(情報通信)】

 複雑・巧妙化するサイバー犯罪・サイバー攻撃等の捜査やその予防における技術的対応を担っており、電子機器からの情報の抽出・可視化、不正プログラムの解析、インフラ事業者に対するセキュリティ対策に必要な技術情報の提供等を行っています。

 


●全国警察の未来を支えるDX推進役として国民の安全・安心を守る。【一般職(情報通信)】

 技術革新や少子高齢化等の進展が社会に大きな変革をもたらす中、警察では警察活動の高度化・合理化を図るため、情報システムの整備や所管する行政手続のオンライン化を推進しています。




​●警察では、被疑者DNA型記録等をデータベースに登録し、未解決事件をはじめ様々な事件の捜査に活用しています。【一般職(DNAセンター)】

 警察では、被疑者から採取した資料から作成した被疑者DNA型記録及び犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる資料から作成した遺留DNA型記録をデータベースに登録し、未解決事件をはじめとする様々な事件の捜査において、犯人の割り出しや余罪の確認等に活用しています。警察庁刑事局犯罪鑑識官では、全国の警察署から嘱託を受け、被疑者から採取した資料のDNA型鑑定を行っています。

 
    

職員紹介

宗﨑 真理子
宗崎真理子さん
警察庁サイバー警察局サイバー捜査課付

 
2020年 警察庁採用 警察大学校附属情報通信学校入校 関東管区警察局神奈川県情報通信部(地方実務研修)
2023年 警察庁情報通信局情報技術解析課企画係長
2022年 警察庁サイバー警察局サイバー捜査課企画法令係長
2023年 警視庁本部サイバー犯罪対策課主査 警視庁本部捜査二課係長
2024年 現職


全ての人の「あたりまえ」の生活を守るために
 
◇ 採用年・採用試験(区分)院卒・大卒

 2020年採用 総合職試験(工学)大卒

◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 この社会で暮らすあらゆる人のためになる仕事がしたいと思ったからです。国家公務員には「それが必要なことなら法律を改正する」、「社会の仕組み自体を変える」という選択肢があることが魅力的でした。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は医療工学を専攻しており、研究対象は「MRIと死後脳」でした。正直、大学の専攻が仕事に直接的に役立ったと感じたことはほぼありません。しかし、現在所属しているサイバー警察局で必須となるサイバーに関する技術的知見を収集・習得する力や、解決すべき課題への論理的なアプローチ方法や多角的に物事を考える力など、理系的な素養が生きる点もあります。
 
◇ 記憶に残っている業務
  警視庁に出向し、現場の捜査員として勤務したことです。周りは捜査のプロばかりで、彼らが普段どんな視点で捜査に従事しているのか、学ぶことばかりの毎日でした。また、警察庁勤務で制度設計に関わった仕組みを、現場の捜査員として「使う」側になったのですが、自分の作った制度が活用されている喜びを感じるとともに、使う側に立つことで制度の改善点も知ることができ、制度設計にはあらゆる視点からの検討が必要だと実感しました。
 
◇ 日々の仕事
 現在はサイバー捜査課の企画法令担当として、全国の都道府県警察に示す方針の作成や、国の捜査機関であるサイバー特別捜査部の管理・運用、新たな捜査手法に関する検討などを行っています。時には、各都道府県警察の業務状況を調査するために、各都道府県に出張することもあります。国としての方針を作成するときには、より効率的で、より実効的な捜査を可能にするため、多角的な視点で検討を行うように努めています。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 サイバー捜査分野では、捜査・法令に関する知見と、サイバーに関する知見の双方が求められます。変革の激しい分野だからこそ、自分もどんどん新しい知識を吸収し、柔軟な考え方で物事を捉えることが必要で、それが面白くもあります。また、国際共同捜査の場面では、国同士の利害関係ではなく、「犯罪に対処し、安全・安心な世界を作る」という同じ目標に向かって異なる国同士が協力していけることが素晴らしいと思います。
 
◇ ある1日のスケジュール
 9:30 登庁&メールチェック
10:00 他課と打合せ
12:00 昼食・昼寝
13:00 都道府県警察からの質疑対応
15:00 国際共同捜査に関する報道発表
16:00 全国会議の準備
19:00 退庁
19:30 職場の近くで映画鑑賞
 

 
 
 
 
 
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