2026年度版技術系ガイド 


国税庁
技術系職員の活躍貢献     職員紹介

 ~税務行政と酒類業を技術で支える~

 国税庁の技術系職員は、「鑑定官」と呼ばれ、課税物件である酒類・揮発油の分析・鑑定を通して内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現に向けて活躍しています。また、国税庁の所管業界である酒類業の健全な発達に向けて、酒類製造者への技術的な指導や相談等の酒造技術の向上のための取組、酒類の安全性確保に関する取組を実施しています。さらには、酒類産業振興のため、技術的な知見を活用し、国内産酒類の輸出促進に向けた取組等を行っています。
 私たち鑑定官は、酒類・揮発油について技術的知見を持つスペシャリストとして活躍しています。

 



●課税物件(酒類・揮発油)の分析・鑑定

  課税物件の中には、税法上化学的性状や原料・製法によって定義されているものが存在しています。例えば、酒類は原料や製造方法、成分等によって清酒、ビール、果実酒といった「品目」と呼ばれるグループに分かれており、品目によって税率が異なるほか、同じ品目でもアルコール分によって税率が異なる場合もあります。鑑定官が分析・鑑定を行うことで、正しい税率の判断や不適切な申告や納税がないか調査を行う際に役立っています。

 


●鑑評会・研究会の開催

  各国税局では、酒造技術と酒類の品質の維持・向上等を目的に鑑評会・研究会を開催しています。鑑評会では、酒類製造者が酒造技術の粋を凝らしたお酒を官能評価により審査し、優れた品質のお酒を製造した酒類製造者に賞を授与しています。研究会では、酒類製造者の技術力向上のため、酒類製造に関する勉強の機会や、製造者間の情報交換の場を設けています。

 


●酒類製造者に対する技術相談

  酒類製造者の技術基盤向上のため、各国税局において酒類製造者に対して技術相談・技術指導を行っています。時には実際に現場へ赴き、安全醸造の観点から製造工程の改善提案や、製造者から寄せられる相談へ対応しています。
時代の変化を常に意識して、新しい技術的な知見や酒造技術をキャッチアップしながら製造現場に生かして行くことにより、伝統を踏まえつつ酒類の新しい価値を現場と共に作り上げています。

 


●コーデックス委員会への参加

  食品の成分等に関する国際規格を策定しているコーデックス委員会において、我が国の代表の一員として会議に参加しています。最近では、果実酒等に使用できる食品添加物の使用や、酒類に含まれる鉛の基準値に関する議論等に参画しています。
    
 

職員紹介

徳永 美和子
国税庁 東京国税局 課税第二部鑑定官室 鑑定官
 
2015年 国税庁採用 課税部鑑定企画官付
2015年 国税庁関東信越国税局 課税第二部鑑定官室
2017年 国税庁東京国税局 課税第二部鑑定官室鑑定指導室
2018年 国税庁課税部鑑定企画官付企画係
2020年 消費者庁新未来創造戦略本部 政策企画専門職
2023年 消費者庁消費者安全課事故調査室 政策企画専門職
2023年 現職


SAKEを科学で支える仕事​

 
◇ 採用年・採用試験(区分)院卒・大卒

 2015年採用 総合職試験(化学・生物・薬学) 院卒
 

◇ 国家公務員になろうと思ったきっかけ
 もともと地元の県職員として、環境保全に携わっていました。地方自治体でしかできないこと、国が先導していくべきこと、どちらも大切でそれぞれに魅力のある仕事ですが、県という枠組みを超えて国ひいては世界を舞台に仕事がしてみたいと思い転職しました。
 
◇ 学生時代の専攻と現在の仕事との関係
 学生時代は薬学を専攻しており、化学、生物、物理と幅広く基礎科学を学んだことが業務の様々な場面で役に立っていると感じています。例えば、実験器具や試薬の取り扱い方法はもちろん、GCを用いた分析や微生物分析などの分析手法も学生時代に知識や経験を重ねたことを活かせています。また、統計手法や論文執筆の経験も、資料作成の際に活かせていると感じています。
 
◇ 記憶に残っている業務
 採用2年目で担当したビール研究会の運営です。当時はまだ技術支援の相手方は清酒製造者が中心でしたが、クラフトビールが増え始めてきたことを踏まえ、クラフトビール業界の醸造技術の向上のため、初めて研究会を開催することになりました。新人ながら、配布資料の作成や会の運営を任され、当日、参加者の1人から「このような会を待っていた。開催してくれてありがとう!」と握手を求められたときは、とてもやりがいを感じました。
 
◇ 日々の仕事
 お酒を造るためには製造免許が必要ですが、その免許を付与するために製造場の現地確認やヒアリング、書類の確認を行っています。また、お酒は食品であり酒税の対象ですので、安全性を確認したり品目を確認するために、お酒の成分分析を行っています。他にも、酒類製造に関する技術相談に乗ったり、酒類製造者の技術向上のために研究会を企画運営したりもしています。お酒の品質を確認するため官能評価(テイスティング)を行うこともあります。
  
◇ 仕事の面白み、やり甲斐
 国税庁は内国税の賦課・徴収を行う官庁ですので、調査や規制といった側面の業務もありますが、酒類業の発展を目的として、産業振興といったとても前向きな業務に携われることが魅力だと感じます。研究会にせよ技術相談にせよ、「いかに酒類製造者の方のためになるか」と工夫を凝らして形にしていく仕事内容そのものがとても面白いですし、「遠くの誰か」ではなく、直接目の前の製造者の役に立てることもやりがいに繋がりやすいと感じています。
 
◇ テレワークの経験
 コロナ以降、テレワークの機会が増えましたが、特に報告書作成用のデータ解析や研究会の資料作成など、集中して取り組みたい業務を自宅で行っています。理化学分析などどうしても出勤しないとできない業務もありますので、しっかり計画を立てるよう心がけています。短時間の時間休を取得すれば学校や保育園の行事にも参加しやすいですし、通勤やそれに伴う支度の時間を業務に充てられるので、フレックス勤務と組み合わせて、子育てとの両立にも役立っています。
  
◇ フレックスの経験
 二度目の育休明け当初は育児時間や保育時間を取得していましたが、1か月ほどでフレックスを活用しながらフルタイム勤務に切り替えました。在宅勤務の日は通勤時間を業務に充てられるので、その分勤務時間を長めに設定し、出勤する日は子どもの送迎を踏まえた勤務時間に設定しています。出張の多い部署ですが、事前に日程が決まっていることがほとんどなので計画が立てやすく、学校や保育園行事との両立がしやすくとても助かっています。
  
◇ ある1日のスケジュール
 9:30 子どもたちを送り出してから登庁
10:00 ひととおりメールチェックを終え、お酒のアルコール分を分析
12:30 昼食(同僚と地下食堂でランチ)
13:00 「ビールが濁ってしまった」という相談があり、送付してもらったサンプルが届いたので、顕微鏡で確認
14:00 技術相談の案件について、室内で議論、メモ作成
15:00 午前のアルコール分析結果についてデータまとめ、報告書作成
16:45 退庁
18:00 子どものお迎え
18:30 夕食・家事など
21:00 子どもたちと一緒に就寝
 

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